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万博、どんなイベント? 「未来の暮らし」を体験

2018/11/18

イチ子お姉さん 世界各国が技術や文化の成果を展示する国際博覧(らん)会(万国博覧会)。日本(大阪)も立候補している2025年万博の開催(さい)地が、近く決まるのよ。
からすけ 1970年の日本万国博覧会(大阪万博)は日本中がわいたと、おじいちゃんから聞いたよ。最近の万博は、どんなイベントなのかな。

イチ子 万博は国際博覧会条約(キーワード)に基づいて、複数の国が参加して開かれる博覧会のことよ。広い敷(しき)地に国や企業がパビリオンなどを建てて、最新の技術や製品を紹介するの。そこで来場者に「未来の暮(く)らし」を体験してもらうのね。世界初の万博は1851年に開催されたロンドン万博で、何年かおきに国を変えて開かれているわ。

<キーワード>
国際博覧会条約 国際博覧会の開催期間や頻(ひん)度、開催者・参加国の義務、組織(しき)などについて規(き)定した条約。1928年に締(てい)結され、同時に実務を担う政府間機関の博覧会国際事務局(BIE、本部パリ)も創設。万博の開催を承認するBIEには2017年9月現在、170カ国が加盟している。
開催テーマ 万博に初めてテーマを設けたのが1933、34年のシカゴ万博で、「進歩の1世紀」を掲(かか)げた。90年代までの万博は、先端技術が開く未来をうたったテーマが多かった。21世紀に入ってからは、地球的課題と人類社会の持続的な発展が、テーマの中心になってきている。

からすけ オリンピックみたいなもの?

イチ子 万博には、開催期間が6カ月以内の登録博覧会と、各登録博が開催される間に開かれる認定博覧会(開催期間が3カ月以内)の2つがあるの。開催には、希望する政府が博覧会国際事務局(BIE)に申請(立候補)し、BIE総会で承認されることが必要なの。23日には2025年の登録博の開催地を決めるBIE総会がパリで開かれるわ。日本(大阪)、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)が立候補しており、BIE加盟(めい)国の投票で決まるの。接戦になりそうよ。

からすけ 日本はいつから万博に参加しているのかな。

イチ子 1867年のパリ万博に江戸幕府と佐賀・薩摩両藩(はん)が参加し、73年のウィーン万博に明治政府が出展(てん)しているわ。日本で初めて開かれたのは1970年の大阪万博で、国内では2005年日本国際博覧会(愛知万博)まで計5回、開催されたの。70年の大阪万博は会期(183日)中に約6400万人が訪れ、多くの人の記憶(おく)に残るイベントになったのよ。

からすけ 万博は新しい技術や商品が生まれるきっかけになるんだよね。

イチ子 そう。エレベーターはニューヨーク万博(1853年)でお目見えしたものなの。70年の大阪万博でも、いまの携(けい)帯電話につながるワイヤレスホン(携帯無線電話機)などが登場したの。日本でファストフードや動く歩道が普及したのも、万博の会場で実際に食べたり使ってみたりした人が多かったからよ。

からすけ 今度の大阪万博では、何が出てくるのかな。

イチ子 万博には毎回、開催テーマ(キーワード)があって、今度の大阪万博のテーマは「いのち輝(かがや)く未来社会のデザイン」。いま高齢化が世界的な関心事になっているよね。万博を、人工知能(AI)や仮想現実(VR)などの先端技術を生かして、皆が健康で長生きできる社会をどうつくるかを探る「未来社会の実験場」にしようというのね。

からすけ AIやVRなどは、普(ふ)段のニュースなどでもよく見るよね。びっくりするような技術を見たり、体験(けん)できたりするのが万博なのかなと思っていたけど。

イチ子 万博はもともと、産業革命で工業化した国々の巨大産業見本市という性格が強かったの。最新技術を披露することで国の力を示すことが大事だったのね。

ところが、企業などの技術開発のスピードが速まり、インターネットで情報が即(そく)座に世界に伝わるようになったわ。万博まで待たなくても最新の技術を知ることができるようになったのね。万博に驚(おどろ)きが薄れ、かつてほどには万博に人が集まらなくなったと言われているよね。

からすけ 確かにわくわくしないのなら、見に行く気は起きないよね。

■人類の共通課題、解決の場に

イチ子 万博の意義が問われるようになり、BIEは、21世紀の万博は単に先端(たん)技術を見せるのではなく、技術を使ってより良き未来をどうつくっていくかを考えるイベントにしようと方向を変えたの。「人類共通の課(か)題を解決する場」にすることで存在意義をアピールし、人々を呼び込もうというわけね。

からすけ でも、インターネットで情報がいくらでも手に入るなら、わざわざ博覧会に足を運ぶ必要もない気もするけど。

イチ子 音楽を例に取ってみようか。今、音楽CDは昔ほどには売れないよね。でもライブや夏フェスなどには多くの人が集まっているわ。現場でしか得られない体験は貴(き)重よ。ネット社会が広がることで逆に体験を求める人が増えているのよ。

からすけ 確かにそうだね。多くの人が集まり一緒(しょ)に体験することに意味がありそう。

イチ子 人が集まればそこからコミュニケーションが生まれ、より良い未来をどうつくればいいか、いろいろなアイデアに発展していく可能性があるのよ。与えられたものをただ見るのではなく、「自分ならこうやって課題を解決しよう」とあれこれ考えることができれば、万博の楽しみが増すわ。

■将来への道筋示す使命

東京都立桜修館中等教育学校・荒川美奈子先生の話 博覧会の起源は紀元前に遡(さかのぼ)ります。エジプトの国王の即位式典で財宝が民衆に誇(こ)示されました。中世の欧(おう)州では商人たちが定期市を開くようになり、売買だけでなく技術や文化を示す場にもなりました。
国際的なイベントとして初めて位置づけらたのが1851年にロンドンで開催された万国博覧会です。30万枚のガラスを使った建物「クリスタルパレス(水晶(しょう)宮)」が話題となり604万人を集めました。1900年のパリ万博では開催に合わせて電車を通した地下鉄も誕(たん)生しています。70年に日本で初めて実施された大阪万博に展示された電気自動車も50年近くたった今、当たり前に暮らしに溶け込んでいます。
万博は今では、近い将来私たちのもとにやってくる未来を見据(す)えて交流する場になっています。未来への道筋(すじ)を示していくことが万博の使命なのではないでしょうか。

[日本経済新聞夕刊2018年11月10日付]

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