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研究者が大興奮 耳を使って優雅に泳ぐダンボタコ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/11/23

ナショナルジオグラフィック日本版

2018年10月下旬、海洋探査船ノーチラス号に乗り込んだ科学者たちが、無人潜水艇を使って米国カリフォルニア沖にある海底火山ダビッドソン海山を調査していると、突然かわいらしいタコがカメラの前に現れた。

タコがよく見える距離まで近づくと、研究チームは興奮を抑えきれなくなった。青白い皮膚、飛び出した目、半透明な耳のようなものを持つ生物。めずらしいダンボオクトパス(Grimpoteuthis、ジュウモンジダコ属)だ。名前は、もちろんディズニー制作のアニメーション映画「ダンボ」の主人公、耳の大きなサーカスの象に由来する。映画の象が耳を使って飛ぶように、ダンボオクトパスは体の両側にある耳のような2枚のヒレを羽ばたかせるように動かして泳ぐ。

ノーチラス号の主任科学者であるチャド・キング氏によると、この深海の住人との出合いに、研究者たちは歓喜に沸いたという。「生きたダンボオクトパスを見るとワクワクしますよ。毎日出合えるようなものではありませんから」

ダンボオクトパスは、大西洋と太平洋の最も深く、最も暗いところに生息しているため、研究するのは困難だ。今回のダンボオクトパスは深さ約3000メートルのところで発見されたが、その2倍の深さで見つかったこともある。

ダンボオクトパスは、一生のほとんどを海底の近くを漂って過ごす。彼らはこの場所で産卵し、甲殻類、二枚貝、蠕虫(ぜんちゅう)などの獲物をとる。

ところで、耳のように見えるヒレはダンボオクトパスの唯一の推進手段ではない。8本の触腕(足)の間が水かきで傘のようにつながっていて、この水かきを収縮させれば、爆発的なスピードで泳げる。この動きはマグロやサメなどの敏しょうな捕食者から逃げるのに役立つ。腕を使って海底をはうこともできる。

ダンボオクトパスの仲間は12種以上いて、形も大きさも違う。体長20~30センチほどが多いが、なかには180センチ以上になる種もいる。ダンボオクトパスは、皮膚の色も自在に変えられるが、ほかのタコとは違って墨は吐かない。その代わりに身を守る手段として、触腕に鋭いとげをもつものもいる。

「個人的には、ダンボオクトパスは地球上で最もかわいい生き物だと思います」とキング氏は言う。録音された科学者たちの声を聞いても、そう思っているのは、彼1人ではないようだ。強烈な魅力のある動物に出合うと、彼のチームは「メロメロになってしまう」という。「うちのチームはダンボオクトパスに目がないんです」

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年10月29日付記事を再構成]

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