Men's Fashion

気骨のAI第一人者が「スーツ」を勝負服に選んだワケ

SUITS OF THE YEAR

東京大学大学院 特任准教授 松尾豊氏(上)

2018.11.17

「チャレンジを纏(まと)う=スーツ」をコンセプトに、「挑戦し続ける人」を表彰する賞として、日本経済新聞社の「NIKKEI STYLE Men's Fashion」と世界文化社の「MEN'S EX」が共同で今年新設した「スーツ・オブ・ザ・イヤー」。そのイノベーション部門の受賞者、東京大学大学院の特任准教授、松尾豊氏は人工知能(AI)研究の第一人者。松尾氏に「チャレンジ」と「装い」について聞いた。

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――スーツをよく着用されているそうですね。

「もともと人工知能の研究分野というのは、シリコンバレーのカルチャーみたいな感じでジーンズ、Tシャツといったようなカウンターカルチャー(対抗文化)系なんです。なので人工知能学会というのは服装を気にしない、というよりスーツで来ると怒られるような学会なんです。『何おまえスーツで来てるんだよ』みたいな。それはそれでリベラルな感じでいいのですが、私としてはむしろ『スーツを着たら怒られること自体がおかしい』『制服が逆になっただけじゃん』と。『カウンター・カウンターカルチャー』として、スーツを着ていたんです」

「もちろん学生のころはTシャツ、ジーンズが多かったのですが、大学院に入り、就職してという中で、徐々にスーツが増えていきました。『何か松尾君はいつもスーツだね』といわれることは多かったですね」

■そもそも「服装にはこだわらない」

「そもそもそんなにこだわりはないというか、カウンター・カウンターカルチャーなので、そもそも『服装にこだわらない』という意思表明なんですが、一方でスーツはそもそも人が格好よく見えるようにできているので、着ないと損ですよね」

「Tシャツ、ジーンズでカウンター性を発揮しなければならないということは、格好よく見えることを減らして自己主張しているわけですよね。普通ならスーツを着ても自己主張にはなりにくいはずなのですが、人工知能のコミュニティーはカウンターカルチャーがデフォルトなので、『スーツを着ることで自己主張できるなんて両得だな』と思ってスーツを着ていました」