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帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督

帝京大学ラグビー部の岩出雅之監督

大学選手権で9連覇中の帝京大学ラグビー部。岩出雅之監督(60)はトップダウン型をやめ、学生同士のコミュニケーションを活発にすることで、ラグビーという競技を超えて学生が自ら成長できる組織をつくってきた。勝ち続けるチームのコミュニケーション術や求められるリーダー像を聞いた。(前回の記事は「V9の原点は4年生の雑用 帝京大ラグビー監督の指導」

リーダーをたくさんつくり、多様な角度で組織をみる

――学生のリーダーである主将はどうやって決めているのですか。

「話し合いで選びます。3年生が秋ぐらいから何回も話し合っていますね。投票だと選ばれる方も選ぶ方も楽ですが、それでは意味がない。きちんとリーダーの定義や、どんな行動や能力が必要なのかを考えさせて、学生同士の考えに温度差がなくなったころに選んでもらいます」

――岩出監督はその話し合いに入らないのですか。

「定期的に議論の熟成の度合いを聞いているだけです。リーダー格になる人が少なくてぱっと決まってしまいそうなときには、逆に『もうちょっと考えて』と再考させます。リーダーが誰になるかよりも、議論の質を重視しています。最高学年だからこそ最高の年にしたかったら、最高の努力をしないといけない」

「ラグビーの指導をしてきた30年間で、1回だけ私が選びました。それは結果的にはよくなかったと思っています。何よりも4年生みんながサポートしたくなる人でなければいけない。学生同士の助け合いが必要ですから」

――リーダーになれる人はどんな人でしょう。

「条件は多岐にわたると思いますし、年齢や時代によっても違うかなと思います。そもそも今の時代、一人でマルチにできる人はいません。リーダースタッフというか、多くのリーダーによるチームをつくった方がいいと思っています。帝京ラグビー部では4年生には学生コーチが8人いて、各学年で中心的な役割を担うボードメンバーも10人前後います」

「多くの目線で違う角度から気配り目配りをすることが、大きな組織を動かし、一人ひとりのメンバーに関わっていくための最善の方法だと思います。一人が全てをやって『俺についてこい』だと下の者はついてこない。後ろに回って見守りながら関わっていく接し方が大事で、リーダーは本当に肝心なときにだけ力強さを発揮する。大勢の前でうまく話せるとか、皆を引っ張っていけるのがリーダーではなく、自分の出番がいつなのかを見極められるのがリーダーだと思います」

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