マネーコラム

Money&Investment

相場波乱時に底堅い 値動き少ない銘柄戦略の利点は…

2018/11/17

写真はイメージ=123RF

最近、株式相場の変動が大きくなる日が増えています。波乱相場の中では、値動きの小さな銘柄でポートフォリオを構成する方が良好な運用成果をもたらすという説があります。低ボラティリティー戦略などと呼ばれますが、どんな手法なのでしょうか。

投資の世界でよく使うボラティリティーという言葉は価格変動の度合いを示します。ボラティリティーが高いといえばその株式は値動きが荒く、低いといえば値動きが鈍いことを意味します。

ボラティリティーは過去の株価データなどを基に数値化して表します。価格変動リスクとも言い換えられます。伝統的な投資理論によれば、価格変動が激しくてリスクが高いほど期待できるリターンは高く、リスクが低いほど期待リターンは低くなります。

■リーマン危機以降、好成績を上げる例も

低ボラティリティー戦略はあえて価格変動性の低い銘柄を選んでポートフォリオを組む手法です。投資理論上はリターン面で不利なはずなのに2008年のリーマン危機以降、好成績を上げる例が出てきて注目され、研究する人が増えました。

15年ごろからはこの戦略を採った投資信託や上場投信(ETF)が複数設定されています。配当利回りの高さや売り買いのしやすさなど他の要素を加味して組み入れ銘柄を絞り込むこともあります。

図はブラックロック・ジャパンが運用するETFの組み入れ上位銘柄の株価です。この例では医薬や日用品、生活関連セクターのよく知られた銘柄が低ボラティリティー銘柄として並んでいます。ここ半年間でみると、バラツキはあるものの日経平均が低迷するなかで相対的に株価は堅調なようです。

投資する時期や銘柄によりますが、この戦略がときに市場平均を大きく上回る成果を上げることがうかがえます。その理由は必ずしも明確になっていませんが、三菱アセット・ブレインズのファンドアナリスト、吉田開さんは「投資家の心理や志向が影響している」と考えています。

多くの株式投資家は高いリターンを目指して値動きの大きい銘柄を選好する性質があるといいます。その裏返しで低ボラティリティー銘柄を敬遠しがちだというのです。

そうすると、基礎的な収益力が強くて当面の業績が良いにもかかわらず投資対象として見落とされる銘柄が出てきます。株価が割安になれば、いずれは誰かが買いに動くでしょう。その際に株価は大きく上がると考えます。

値動きがあって期待を集める銘柄の場合、株価が割高なときにマイナス材料が出てくると反動から失望売りを招きやすいでしょう。それと比較すると低ボラティリティー銘柄は投資家の反応は鈍く下値が限られるともいえます。

■「相続資産などの運用に有効」

低ボラティリティー戦略はこれまでの研究によると、アベノミクス相場のように勢いのある上昇局面では有効性は薄く、市場平均に劣りやすいとされます。有利な相場局面が過去にあったからといって将来も通用するとは限りません。楽天証券経済研究所のファンドアナリスト、篠田尚子さんは「大きく損してはいけない、と思う人に向く戦略。親から相続した資産を運用する際などに有効ではないか」と話しています。

[日本経済新聞朝刊2018年11月10日付]

マネーコラム 新着記事

ALL CHANNEL