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WEF名誉会長の尾原蓉子氏(左)とエアークローゼット社長の天沼聡氏

WEF名誉会長の尾原蓉子氏(左)とエアークローゼット社長の天沼聡氏

日本にファッションビジネスを根付かせた尾原蓉子氏。戦後間もなく、苦労して米国に学び、大企業の男社会と闘いながら、50年以上にわたって人材育成に尽力してきた。環境や組織、年齢の壁をどう乗り越えていけばよいか、働くうえで何が重要か。関わりの深い経営者やデザイナーらとの対談を通じて探っていく。1回目は月額制のファッションレンタルサービスを手掛けるエアークローゼット(東京・港)の天沼聡社長と、異文化からの学びや仕事の醍醐味について語り合ってもらった。

――尾原さん、天沼さんに共通するのが、高校時代から異文化体験をしていることですが、そこで学んだこと、今の自分につながったと思うことはありますか。

自分なりのやり方を追求していい――異文化の壁

一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション創設者・名誉会長。1962年東大卒、旭化成工業(現旭化成)入社。米ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)に留学したほか、米ハーバード・ビジネス・スクールの経営者向けコース(AMP)も修了。財団法人ファッション産業人材育成機構が運営するIFIビジネススクールの学長など歴任。近著に「Fashion Business 創造する未来」(繊研新聞社)、これと2部作となる「Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る」(日本経済新聞出版社)。">

尾原蓉子
一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション創設者・名誉会長。1962年東大卒、旭化成工業(現旭化成)入社。米ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)に留学したほか、米ハーバード・ビジネス・スクールの経営者向けコース(AMP)も修了。財団法人ファッション産業人材育成機構が運営するIFIビジネススクールの学長など歴任。近著に「Fashion Business 創造する未来」(繊研新聞社)、これと2部作となる「Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る」(日本経済新聞出版社)。

天沼私はアイルランドの全寮制高校で3年、その後、英国の大学で4年過ごしましたが、それが原体験として私の考え方のベースになっています。特にロンドンは人種のるつぼで、私たちの"当たり前"が全く通用しません。違うからと否定するのではなく、「すべての人の考え方が正しい」と尊重しつつ、正しいかどうかは実際に試して検証しようと考えるようになりました。

尾原 米国での高校留学で印象に残ったことは、まず、人と違うことは良いことだとする考え方です。人と違えば浮いてしまう、変な人だと思われる、と否定的に構えていたので、私の服装への「That is so different !」が褒め言葉だと知って本当に驚きました。

天沼 異なる意見を述べたり、相手に質問したりしても構わないと知って、私もだいぶ楽になりました。日本では、意見が人に寄り添っているように見えるので、反論すれば相手を傷つけてしまうこともあります。ですが、意見とは本来、人と人の間にあるもので、そこに向かって互いの考えをぶつけ合うなら、人間関係や信頼関係は壊れません。自分の考えを発信してシェアすることは、社内でも大切にしている価値観となっています。

尾原 私のホストファミリーのシスターも、高校2年生でしたが、父親に向かって「You are wrong」と言って、対等に議論していました。学校などあちこちでそういう場面が見られ、日本とすごく違うと感じたのを覚えています。

それから、みんなが生き生きと働いていることも印象的でした。自分のやりたいこと、できることを可能な範囲でやっているから、スーパーのレジ担当も学校の清掃スタッフも誇りを持って働いています。ベストを発揮した結果、誰かが喜ぶ顔を見て、自分も幸せだと感じるのは、いい人生だと思いますね。

天沼 すごく共感します。人それぞれ好きなことも考え方も違うので、一定の成果を出すために自分なりのやり方でたどり着けばいい。ミスしてはいけない、最短距離で行かなくてはならないという強迫観念にとらわれている人が多いのですが、それでは発想の自由度も楽しみ方も減ってしまいます。

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