パワハラ・セクハラどう防ぐ 安易なNG集は逆効果「パワハラをなくす教科書」 和田隆氏

解決を急ぐ場合、ハラスメントの原因は加害者のキャラクターに集約されやすくなる。和田氏は「加害者のパーソナリティーだけを原因ととらえるのは、事態の把握を誤らせる」とみる。もちろん、攻撃的な気性やわがままな態度が主な原因になるケースは珍しくない。ただ、加害者にそうした言動を許した職場環境や社風なども遠因ではないのかといった目配りも必要だ。「なぜ止められなかったのか」「業務の目標設定は妥当だったか」といった、複合的な読み解きを試みないと「加害者と被害者の顔ぶれを変えた形での再発リスクがくすぶり続ける」(和田氏)。

企業の研修、「丸投げ」は問題

特に成果や実績をやみくもに追い求める企業では、「あいつは結果を出すから、多少のやんちゃは仕方がない」といった考え方が生まれやすい。職場にゆとりがないと、他人のもめごとをなんとかしようという気持ちも湧きにくくなる。こうした職場環境はハラスメントの下地になり得る。和田氏はこれらの要因を含めて「ハラスメントは組織の問題」と話す。ハラスメントの根絶には、組織あげての取り組みが欠かせないようだ。

企業のハラスメント防止研修を手がけることが多い和田氏は、研修のあり方にも改善の余地があるとみる。通常は2時間程度の「パワハラとセクハラの防止に向けて」といったタイトルで講習を依頼されるケースが多い。講習には啓発の意義が確かにあるが、耳学問だけでハラスメントを防止できるとは限らない。トラブルがおきたときに責任を回避する「アリバイ」づくりのような研修でなく、実効ある機会にするには「講師に丸投げするのでなく、企業の参画が欠かせない」と和田氏は話す。

企業側にハラスメント根絶の覚悟がないと、研修内容も表面的になりやすい。和田氏は「最も多いのは『パワハラとセクハラのNG集』風の内容だ。企業の担当者は『これだけはやらないで』といったボーダーラインを示してほしいという意識が強い」と明かす。

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