米倉涼子 元弁護士役の『リーガルV』にかける思い
誰にも媚びない、凄腕のフリーランス外科医の活躍を描くテレビ朝日の『ドクターX~外科医・大門未知子~』。2012年に民放連ドラの年間視聴率でトップを獲得して以降、17年の第5シリーズまで、視聴率20%以上を何度も記録するヒット作となった。主演の米倉涼子は当たり役。視聴率女王として地位を築いたが、この秋、久々に新作が誕生した。
『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』は、元弁護士の小鳥遊翔子(たかなししょうこ)が主人公。「人を救うのに資格はいらない」と、弁護士事務所の管理人になり、所属弁護士やパラリーガルをこき使って、不利な訴訟でも勝利のために突き進んでいく。『ドクターX』と同じく、内山聖子氏のプロデュースによる作品だ。
前からやりたかったキャラ
「『リーガルV』は、私から『新作をやりたい』とお願いして実現しました。『ドクターX』をやっているときも、『次に新しい作品をやるとしたら』という感じで、軽く冗談で話したりはしていたんですよ。『もし警察だったらさ』とか、『麻雀放浪記とかよくない?』とか(笑)。実際に動き出すのに少し時間はかかりましたが、このタイミングでできることになりました。
今回の翔子は、超軽くていい加減で、自由気ままな性格。内山さんと、『こんなキャラクターができたらいいね』と以前から話していた人物像でもあります。キャラは強いと思いますよ。今までと同じと思っていただいて大丈夫です(笑)。やっぱりそれが自分の肌にも合っていますし」
脚本は、連ドラ『華麗なる一族』(07年)や『映画 ビリギャル』(15年)の橋本裕志。読んだときの印象はどうだったか。
「面白かったです。土台がしっかりしているので、あとは私たち演じる側次第という感じです。最初は『こんなに軽くできるかな』と思いましたが、みんなで本読みをしたときに意外と楽にできて、考えすぎなくてもいいかもしれないって。橋本さんが本を書き始めてくださっているときに、1度軽く会合があったんです。ちょっとお酒が進んじゃって、お互いに細かいことは覚えていないんですけど(笑)。でも、私の声の感じとか、振る舞いとか、把握しておきたかったのだと思いますし、初めてのお仕事なので、私も事前にお会いできて良かったと思いました。
弁護士ドラマっていうと、公明正大でビシッとしているイメージがありますが、翔子は真逆にいるので、気負わず楽に見ていただけるのでは。『ドクターX』ではオン側ばかりでしたが、今回はオンとオフが混じり合っているような展開。未知子のときは、お風呂には入るけど、部屋のシーンはなかったんですよ。部屋と事務所がつながっているので、口を開けて寝てるような面もお見せすることになりそうです。翔子の衣装は今日のスタイリングと同じ、野村昌司さんにお願いしました。『それパジャマじゃん』『下着じゃん』っていうアイテムにジャケットを羽織ったらカッコよかった、みたいな、ゆるくて今っぽいスタイリングは翔子らしさを表しているので、そこにも注目してほしいです」
顔合わせで久々に緊張
取材時はクランクイン前で、髪を切って役柄に備え、共演者との本読みだけ終わった段階。8年前に映画『交渉人 THE MOVIE』(10年)で共演した林遣都と、『ドクターX』での勝村政信以外は、ほとんどが初共演だという。
「今回の顔合わせのときに、期待と同時に、『ドクターX』のときの心地良さを改めて認識しました。『ああ、本当におうちみたいな存在だったんだな』って。久しぶりにドキドキして、立って挨拶するときも、緊張で目が回りそうになりました。こういう気持ち、久しくなかったなって。
勝村さんとは本読みの後に、『私たち愛し合ってるよね』って話しました(笑)。何だかよく分からない、変な絆があるんです。
遣都君は、初めて会ったときはまだ10代で。俳優として成長された今、またご一緒できるのがとても楽しみ。翔子の相棒として、いいコンビが組めたらと思います。(田中)圭君から聞いていたので、『おっさんずラブ』を見ていたんですよ。そしたらはまっちゃって。圭君の相手役だった遣都君のことはとても気になっていました」
役作りについては、「事前に特別なことはしない」と明かした。
「本読みで、みなさんどんな感じで出てくるのかなっていうのを楽しんで、後出しじゃんけんみたいに、自分のキャラクターを決めることが多いです。『私はこんなふうにやろう』って臨むと、大抵無理が生じて崩れるので。西田(敏行)さんも、『感じるままにやればいいじゃん、ちゃんとハートがあればさ』って、よくおっしゃってくれますね。
未知子はオペが趣味で、『この人を生かしてあげたい』という明確な意思があったけど、翔子はそれほど素直な心の持ち主でもないみたい。悪女というよりはお転婆の域だけど、自己中心的で人の気持ちはそっちのけというか。面白そうだからとか、お金が入りそうとか、何か自分の刺激になりそうってものに食いつく…ヒルみたいな感じ(笑)。展開も速いし、肩肘張らずに見ていただきたいです。
私自身、居心地の良かった『ドクターX』を離れて、あえて新しい作品に臨みます。この挑戦で得られるものが絶対にあると信じて、取り組んでいきます」
(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2018年11月号の記事を再構成]
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