仕事も育児も諦めない 女性部長の保活・復職のリアル

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 夫は休日や夜にも仕事が入ることがあり、基本的には私が娘のお迎え担当なので、仕事の制限は常に感じています。特に医療機関とのお仕事では、医師の先生たちが診療を終えてからお話をしなければいけません。予定していた時間に診療が終わらないことや、5分の約束が打ち合わせが盛り上がって1時間のお話になってしまうこともあります。大切な会食に私だけが出られず、悔しい思いをしたこともありました。

 そこで、どうしても子どものお迎えやお世話が難しくなってしまう会食や地方での学会・講演などの場合は、夫とカレンダーを共有して事前に調整してもらっています。

誰かをサポートした経験は必ず自分に返ってくる

 私の周りにはママ社員も多く、制度の溝を知る機会が多くありました。まだ自分が結婚する前、それらの声を資料にまとめて人事に制度変更・新設の提案をしたところ、1年かけて人事部が検討を重ねて実現してくれました。

 例えば時短勤務とフレックスタイムの併用や、子ども関連での1時間以内の遅刻・早退などは、申告すれば勤務扱いとなる「チャイルドタイム」という制度、一時保育や延長保育、病児保育、ベビーシッター代などの一部助成などが実現しました。育児だけでなく介護をしている人も、月の半分まで在宅での仕事ができるような制度もあります。また搾乳の場所に困った際に使用できる「ウェルネスルーム」という部屋をつくってもらいました。そこにはベッドもあるのですが、ママだけでなく、つわりや生理痛、風邪など体調が悪い社員が、1時間はそこで休めるようになっています。

 チャイルドタイムは例えば朝、子どもがぐずって保育園に連れて行くのが遅くなってしまった…という場合にも使えます。そのような出来事の積み重ねで、じわじわと勤務時間が減ってお給料にも影響が出ると、徐々に心理的な負担にもなると思います。自分が就業規則通りに働けていない、と罪悪感をもったり、子どもに「早くして!」と当たってしまったり……。でも業務でしっかりとパフォーマンスを発揮できていれば、そのような細かな時間にあまりこだわらなくてもいいのではないかな、と考えています。

育児だけでなく介護も含め、仕事に100%コミットできない状況はいつ自分の身に起こるかは分からない。そのときに、誰かをサポートした経験が必ず自分に返ってくる(写真はイメージ=PIXTA)

 ただ年に数回ある深夜の対応など、どうしても子どもがいない人に負担がいってしまう部分があることは、チームをまとめる管理職として申し訳なく思いますし、なるべく従業員・部員の年齢構成などに偏りがでないように他部署とも調整しながらバランスを取っています。育児だけでなく介護も含め、仕事に100%コミットできない状況はいつ自分の身に起こるかは分からない。そのときに、誰かをサポートした経験が必ず自分に返ってくる。だから助け合いと感謝の空気を大事にしよう、ということは常々部下に話しています。私も産休に入るまでは、何でも自分がやってしまうタイプでした。でも産休に入って、メンバーの成長に気づかされ、最近では自分がやらなくても回ることは、基本的に任せてみることにしています。組織全体として、一人に依存しないスタイルになっていくといいなと感じています。

(取材・文 砂山絵理子=日経DUAL編集部)

[日経DUAL2018年9月21日付けの掲載記事を基に再構成]

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