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LGBTの結婚、日本も認めて 外資経済界が政府に要望 在日米国商議所人事委員長 ジンジャー・グリッグス氏

2018/11/16 日本経済新聞 朝刊

同性婚を求める動きは世界中に広がっている(台湾で10月に実施されたパレード)=ロイター

東京五輪の招致をきっかけに、性的少数者(LGBT)に配慮した取り組みが日本でも広がっている。五輪憲章が性的指向による差別を禁じているためで、一部の自治体はLGBTのカップルを公的なパートナーとして認めている。次の焦点は同性婚の合法化だ。すでに外資企業からは要望があがり始めており、在日米国商工会議所人事委員長のジンジャー・グリッグス氏は日本経済新聞への寄稿で「婚姻権が認められれば、企業は優秀な人材を集めやすくなる」と指摘する。

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在日米国商工会議所は日本政府に対して「LGBT」と呼ばれる性的少数者のカップルにも婚姻の権利を認めるように求める提言をまとめた。権利を認めれば、日本で事業展開する企業が優秀な人材を雇用しやすくなり、多様な従業員に公平な処遇を実現することになろう。企業の生産性も高めるはずだ。

この提言にはニュージーランド、カナダ、英国、アイルランド、デンマークの在日商工会議所も賛同している。

現在は世界の25カ国でLGBTの婚姻権が認められており、先進7カ国(G7)のうち、婚姻権や同性のパートナーシップが認められていないのは日本だけだ。日本には国家レベルでのLGBTの差別禁止方針もなく、LGBTカップルの婚姻は法的な保護を受けられない状況にある。

国境を越えた優秀な人材獲得競争が激しくなるなか、異性カップルと処遇に格差がある日本はLGBTの働き手にとって魅力的な国といえない。他国では法的な婚姻関係を認められているカップルでも、日本では配偶者ビザが発給されなかったり、住宅手当や配偶者の健康保険の受給に支障が生じたりするからだ。

現状では日本で事業を展開する海外企業はLGBT社員に代替的な福利厚生制度を設ける必要がある。管理が煩雑になってしまううえ、法律で婚姻が認められた異性カップルに比べると、当事者は制約を受けることも多い。

ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包含)が、企業の意思決定の質や生産性、収益性を高めることはすでに広く証明されている。そこで重要なのは、雇用主が従業員一人ひとりの違いを尊重することと全従業員を公平・平等に扱うことの2点だ。LGBTの婚姻権の実現は日本のビジネス環境の整備という視点からも重要であり、多様性と包含の促進に資する施策を支持するのは企業の社会的責任といえる。

日本でも大企業ではLGBT社員に配慮した施策が進んでおり、日本社会全体でのLGBTに対する認知や理解も深まってきている。日本の憲法では婚姻は両性の合意で成立するとしているが、これは当事者同士と解釈できると思う。ならば婚姻の権利の実現に必要な法改正もそれほど複雑ではないはずだ。

2020年の東京五輪開催国として国際社会からの注目も高まっていくこの時期に、日本政府が変化に向けて踏み出せば意義は大きいと思う。

ジンジャー・グリッグス
コンサルティング会社ASCリーダー会長。1991年から97年までドイツのコカ・コーラ、97年から2000年まで日本コカ・コーラ勤務。

[日本経済新聞朝刊2018年11月9日付を再構成]

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