チーズ通が選ぶ、こだわりのチーズケーキ10選
ブルーチーズを使うなど、個性派が続々登場している。
チーズ好きが食べたい一品を、チーズの専門家が選んだ。
ワインの風味と合わせて
定番スイーツとして愛され続けているチーズケーキ。起源は古代ギリシャまでさかのぼるといわれている。日本では1970年代に女性誌が特集を組んでブームとなり、その後おなじみのスイーツとして定着した。
最近は使うチーズの種類が増え、風味もバリエーションに富む。クリームチーズを使うとコクとさわやかな酸味が楽しめる。同じフレッシュ系でもフロマージュブランはヨーグルトのような軽やかな風味だ。
今回のランキングはブルーチーズ系が目立った。ゴルゴンゾーラを使うとピリッとした風味が感じられる、個性がはっきりしたケーキに。フルム・ダンベールは上品な風味とコクがアクセントになる。ブルー・デ・コースだとバターのような深いコクが引き立つ。
ワインと合わせる楽しみ方も。エノテカ銀座店の柴野祐大さんは「風味や質感を合わせるといい」と話す。青カビの風味が強いとフルーティーな赤ワイン、ドライフルーツやハチミツ入りはポートワインと合う。クリームチーズ系では甘みが強いのはシャンパン、酸味があるとさわやかな白ワインがおすすめ。ナッツ入りはたるの風味がきいた辛口の白ワインに合う。
11月11日はチーズの日。風味を比べて楽しみたい。
(京都市) 520ポイント
8種のスパイスが引き立て
味と香りに「起承転結」を持たせるよう計算して作り上げた。まずはチーズを味わい、ドライイチジクのプチプチした食感が続き、生地のスパイスが変化をつけ、最後にシナモンの香りに包まれる。「イチジクとスポンジの風味が大人の雰囲気。ワインのパートナーにもいい、上品な大人のチーズケーキ」(今藤亜記子さん)
チーズ部分は仏ノルマンディー産のクリームチーズに、生クリームを乳酸菌発酵させたサワークリームを合わせた。同店の中元修平シェフは「低温でじっくり焼くことで、生の食感とベイクドチーズケーキのコクの両方が味わえるようにした」と話す。
土台の生地はシェフが仏アルザスで食べたパンデピス(スパイスの効いたパウンドケーキ)をイメージした。カルダモンやシナモン、ナツメグなど8種類のスパイスを使用。「スパイスの香りがチーズの味わいを引き立てている」(坂上あきさん)
アクセントになる黒イチジクは赤ワイン、バルサミコ酢、マダガスカル産ブラックペッパーで味付けし「ドライフルーツからも豊潤な味わいが広がる」(平岩理緒さん)。
(1)17.5×4×高さ3.5センチ、2268円(税込み、送料別)(2)冷蔵(3)http://patisserie-s.com/
(浜松市) 510ポイント
サクサク香ばしい王道の味
1949年創業の同店の看板商品。創業者の親戚がオランダ人の家庭で見たチーズケーキをヒントに作った。1964年の東京五輪時に作られ、60年近く地元で愛されている。自家製のクッキー「あげ潮」の生地で作ったケーキの土台は、食感を出すためコーンフレークを入れており、「香ばしくサクサク感がある」(西田郁子さん)。
デンマーク産クリームチーズの上に国産のサワークリームを合わせた。「レア食感のさわやかなサワークリームと下のクリームチーズのコクが絶妙。クリームチーズ感のある王道のチーズケーキ」(村瀬美幸さん)、「口当たりが良いので飽きが来ず食べやすい」(久田早苗さん)。
細長いボックス状の形で「四角く、崩れにくそうな形は手土産にも良さそう」(小笠原由貴さん)。
(1)23×8×3センチ、2970円(2)冷凍(3)https://marutayashop.net/
(東京都江東区) 500ポイント
表面こんがり カラメルのよう
フランスでチーズ作りを学んだチーズの専門家、かのうかおりさんが、スペインのバスク地方で出合ったチーズケーキを再現した。高温で焼き、焦げる寸前で止めることで「表面がこんがりしていて、カラメルのような香ばしさが広がる」(村瀬さん)。
クリームチーズをふんだんに使って焼き上げた。ベイクドやスフレ、レアチーズケーキとは違う食感で、小麦粉を使わない「グルテンフリー」のケーキ。「口に入れた瞬間は軽い。後味でチーズの濃厚な味もしっかり感じられ、食べ応えがある」(野木智子さん)
ワインにも合う。「上質なデザートワインと合わせるとよい。なめらかな質感はシャンパンの泡とも相性がよさそう」(柴野祐大さん)
(1)直径12センチ、3024円(2)冷凍(3)http://kaorinne.ocnk.net/
(東京都港区) 460ポイント
ブルーチーズの余韻味わう
フランスの人気チーズ専門店が展開する、チーズケーキとバターサンドの店。フランスで「高貴な青カビ」と呼ばれるブルーチーズ、「フルム・ダンベール」の風味を生かしたベイクドタイプ。チーズの滑らかな食感を残すため、火を通しすぎずしっとり焼き上げた。「ブルーチーズの香りと味がしっかりするが、主張しすぎず余韻が心地よい」(久田さん)
「香ばしい風味がブルーチーズの味を引き立てる」(西田さん)、「コクのある赤ワインと合わせたい」(渡辺武志さん)。
(1)直径12.5センチ、4104円(2)冷凍(3)https://beillevaire.jp/
(東京都町田市) 445ポイント
フルーツ・ペッパーと調和
ゴルゴンゾーラの風味が強く、ブルーチーズ好きも満足できる味わい。チーズ部分は水をはったオーブンで「湯煎焼き」にすることで温度上昇が緩やかになり、「柔らかさを残しつつしっとり濃厚な食感に仕上げた」(同店)。
かんきつのコンフィ(砂糖漬け)や白イチジク、マロングラッセやピンクペッパーをあしらい「フルーツとペッパーのさわやかで刺激的な味わいが、ブルーチーズの塩味と調和している」(渡辺さん)。付属の栗ハチミツをかけるとまた違った味わい。12月20日発送分までの期間限定。
(1)直径12センチ、7300円(2)冷蔵(3)https://www.patisserie-partage.com/
(東京都千代田区) 440ポイント
さわやかな軽さとコク
さわやかな酸味があるヨーグルトのようなチーズ「フロマージュブラン」を広めようと、島田進シェフが仏アンジュの地方菓子「クレメ・ダンジュ」をアレンジした。ノルマンディー産フレッシュチーズと北海道産生クリームを合わせ「軽い食感ながらコクがしっかり感じられる」(柴野さん)。
内部にはフランボワーズソースを染み込ませたスポンジが入っていて「ソースのみずみずしさがチーズの優しい甘みを引き立てる。さわやかな辛口のスパークリングと合わせると、ぐっと大人っぽい印象に」(平岩さん)。
(1)直径6.5×高さ6センチ、4個3944円(2)冷凍(3)http://www.patissiershima.co.jp/
(東京都中央区) 400ポイント
クルミ入りザクザク食感
4種のチーズが載ったピザ「クアトロフォルマッジ」をイメージして作った。「ゴルゴンゾーラをそのまま食べているかのような香りをダイレクトに感じる。クリームチーズのコクも感じられ、メリハリがある」(渡辺さん)
甘さを抑えたケーキの上には、ぽろぽろ崩れるクルミ入りのクランブル生地とマルタ島の塩を散らした。「ザクザクしたクランブルとチーズが合う。好みでかけるハチミツもいいアイデア」(青海七生さん)。ハチミツは季節で変わる。製造・販売をひとりで行っているので販売数に限りがある。
(1)16×4×4センチ、2300円(2)冷蔵(3)https://lesolca.jp/
(千葉市) 390ポイント
ワインと食べたい濃厚さ
クリームチーズ、ブルーチーズ、カスタードクリームを3層重ね、クセを和らげた。ブルーチーズは熟成の違うフルム・ダンベールとブルー・デ・コースを使用。アーモンドパウダーを加えたざっくりとした土台のサブレ生地に「クリームチーズのさわやかさとフルム・ダンベールの風味が心地よく続く。少し温めてもよさそう」(村瀬さん)。「濃厚なのでワイン会のおつまみにも。赤ワインや白ワインなど何でも合わせられそう」(小田川真弓さん)
(1)直径16センチ、2500円(2)冷蔵(3)http://mirabelle-club.com/index.html
(東京都江戸川区) 370ポイント
甘さ控えチーズに近く
元料理人のシェフが「ワインと楽しむ大人のチーズケーキ」として提案した。「ゴルゴンゾーラの風味がしっかり効き、チーズ好きにはたまらない」(久田さん)
甘さを極力控え「あまり甘さを感じない」(平岩さん)。「チーズに近いチーズケーキ。赤ワインと合わせて夜のおつまみに」(野木さん)。リコッタ、パルミジャーノなど6種類のチーズケーキのセットも人気。「生地のサクサク感が際立ち、味も食感も楽しめる」(今藤さん)
(1)直径12センチ、2300円(2)冷凍(3)https://lelaputa.shop-pro.jp/
(長崎県雲仙市) 330ポイント
コクと塩気 変化楽しく
九州のクラシックホテルが手掛ける。ワイン好きのシェフが食べたいチーズケーキを追求した。「コクのあるチーズの中に塩気のある青カビのアクセントが感じられ、変化が楽しい」(平岩さん)。レーズンやイチジク、クルミを生地に練り込み「ブルーチーズの味わいをフルーツが引き立てる。赤ワインと楽しみたい」(坂上さん)。長崎県産の卵を使うなど地域の食材にもこだわった。
(1)直径約14センチ、4860円(2)冷凍(3)http://www.o-miyage.jp/unzen/
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。店名(所在地)、商品名(1)商品のサイズまたは個数、税込み価格(送料別)(2)発送時の状態(3)店・販売サイトのURL。写真は尾城徹雄撮影。スタイリングは来住昌美
調査の方法 専門家への取材を基に取り寄せ可能な36品を選出。チーズやスイーツの専門家6人が25品ずつ選び、4人以上が推した23品を取り寄せた。チーズプロフェッショナルやフランスチーズ鑑評騎士の会シュヴァリエ、チーズ学士などチーズの資格を持つ12人が商品名を伏せて試食。チーズの風味を生かしているか、スイーツとしての完成度などの観点で順位をつけ、編集部で集計した。
今週の専門家 ▽青海七生(パーティー料理研究家)▽小笠原由貴(パン教室ラ・ナチュール主宰)▽小田川真弓(小田川真弓お菓子教室)▽今藤亜記子(日本マイセラ直営事業部)▽坂上あき(チーズプロフェッショナル協会常務理事)▽柴野祐大(エノテカ銀座店)▽西田郁子(チーズルームアカデミー専任講師)▽野木智子(メゾン デュ フロマージュ チェスコ 高島屋日本橋店店長)▽久田早苗(チーズ王国 チーズ熟成士)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽村瀬美幸(日本チーズアートフロマジェ協会副理事長)▽渡辺武志(明治加工食品商品開発部乳製品開発G)=敬称略、五十音順
[NIKKEIプラス1 2018年11月10日付]
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