不動産の仲介業者が土地や建物の売買などを取り扱う専門家だということは一般の人に認識されている事実かと思います。実際、家を探すときなどは仲介業者に依頼することがほとんどですし、検索サイトで物件を探す際にも窓口となる仲介業者にその土地や建物について問い合わせをすることになります。ただ、一般的には仲介業者は建物の構造などについては詳しくありません。詳しく知りたいのならば別の専門家に聞く必要があります。
「しっかりつくられているから大丈夫」
仲介業者と一緒に中古住宅を見学する際、室内はきれいにしつらえられていても、買い主の立場からすると「築年数からみて今後、どの程度の修繕費がかかるのか」「耐震性は大丈夫なのか」「見えない部分に欠陥や不具合があったりしないか」といったように気になることがたくさん出てくるものです。
そんなときに仲介業者にこうした疑問を投げかけると、「築年数の割にはきれいですから問題ないと思います」「しっかりつくられているようですから大丈夫だと思います」などと回答されることもあります。
「土地や建物の専門家がそう言っていのだから、きっと大丈夫なのだろう」と消費者は思うかもしれません。しかし、これをうのみにしてはいけないのです。
建物の構造には詳しくない仲介業者
仲介業者がこうした回答をしたならば、設計や建築の専門家は首をかしげるでしょう。その気持ちは筆者も理解できます。
仲介業者は各事務所に宅地建物取引士という資格を持つ者を5人に1人以上、配置しなければならないことになっています。しかし、建物の構造や施工、劣化状況の判断や対処の方法などについては、宅地建物取引士の資格試験の範囲には全く含まれていません。