医者もいいけど…エンジェル投資家、灘高後輩への思い
谷家衛・あすかホールディングス会長が語る(下)
谷家衛・あすかホールディングス会長
希代のエンジェル投資家で、篤志家としても知られるあすかホールディングス会長の谷家衛氏(55)。その投資哲学の原点は、一人ひとりの個性を育み、伸ばす私立灘校(灘中、灘高、神戸市)の校風にあると話すが、その母校の後輩や若い人たちに対し、谷家氏は、もっと自分の個性を大事にした人生選択をしてほしいとエールを送る。
一浪して東京大学法学部に入った。
高3になると大学受験に備えて、文系クラスと理系クラスに分かれます。私は、数学や物理など理系科目のほうが得意でしたが、理系に進んだら勉強し続けなければいけないというイメージが強く、文系を選びました。
とにかく、大学では一人暮らしをして思い切り遊びたい。それしか頭の中になかったので、勉強の大変そうな理系には進みたくありませんでした。志望校は、周りがみんなそうなので、とりあえず東京大学にしました。
でも、高3になっても相変わらず勉強嫌いは改まらず、受験勉強もほとんどしませんでした。それでも最後の最後になって猛烈な追い込みをかけ、自分では合格するつもりでいましたが、世の中そんなに甘くはありませんでした。
浪人したらやっとまともに勉強するようになり、翌年、東大法学部に無事、合格できました。その時、一緒に浪人して同じ予備校に通い、仲良く合格したのが、上月良祐参議院議員。なぜか私の学年は政治家になった人が多く、西村康稔官房副長官、徳茂雅之参議院議員も同級生です。
同級生同士のつながりは今も結構強く、仲の良かった友達とは、時々飲みに行っています。同窓会も、東京や関西でわりとひんぱんにあります。ただ、私自身は今、香港にいることが多いので、なかなか出席できず、残念な思いをしています。
数年前、母校に呼ばれて講演した。
一度だけ、母校から声が掛かり在校生の前で話をしたことがあります。その時、学校側から事前に言われたのは、灘高は医者を目指す子たちが多いから、もう少し違うキャリアを目指す人が増えるよう、話してほしいということでした。