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裏写りしない・消せるモデルも マッキー40年の変遷

納富廉邦のステーショナリー進化形

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NIKKEI STYLE

段ボールやプラスチックのケースに文字を書きたいときに手を伸ばす油性マーカー。その代表的な存在がゼブラのマッキー・シリーズだろう。発売から40年以上たった今も油性マーカーの中で大きなシェアを占める製品だが、現在は多様化が進み、中には「水で拭くと消せるマッキー」も登場している。長年、文房具を見続けてきたライターの納富廉邦氏が、キャンパスノート(記事「書きやすさ追求 写真で見るキャンパスノートの進化」)、MONO消しゴム(記事「最初はオマケだったMONO消しゴム、半世紀の道のり」)に続いて、マッキー・シリーズの進化を解説する。

◇  ◇  ◇

ゼブラの「ハイマッキー」は、現在、油性マーカーの太字市場では約95%という圧倒的シェアを持つ大ベストセラー商品だ。片方が角形の太字芯、反対側が細い文字が書ける丸形の芯、軸の中央に大きく「マッキー」と描かれた円すい形のボディーは、誰もが一度は使ったことがあるだろう。

多くの人が当たり前のように「マッキー」と呼んでいるが、冒頭にも書いたように、この製品の正式名称は「ハイマッキー」。ペン軸に書かれたロゴをよく見ると、マッキーという文字の上に白抜きで「ハイ」と書かれている。このデザインは基本的に1976年に登場したときから変わっていない。

ゼブラによると、現在もマッキー・シリーズは栃木県の工場で年間約2500万本が製造されているという。累計の売り上げは、ハイマッキーが8億本、マッキー極細も8億本にも上る。

蛍光ペンのアイデアを油性マーカーに

今では油性マーカーといえばマッキーを連想する人が多いが、開発当時、油性マーカーといえば、寺西化学工業の「マジックインキ」が圧倒的シェアを誇っていた。しかも、1976年の時点ですでに発売から23年になるロングセラーだった。ハテナのマークのガラス製の軸は、あまりにも有名で、今でも油性マーカーのことを「マジック」という人も多い。現在でも、「ハイマッキー」のことを「マジック」というジャンルの「マッキー」だと思っている人も結構いるのだ。

それほどの存在だったマジックインキに対抗するためにゼブラが取り入れたのが、軸の両方に太字と細字の芯があるスタイルだった。同社は前年の75年に発売し、大ヒットとなった「蛍光ペン2」で、この構造を採用している。ヒット商品のアイデアをマーカーにも流用したわけだ。

両方に芯がある構造にするため、軸をガラスではなくプラスチックにして、インクもプラスチックの軸に対応するアルコール系の溶剤を使うことにした。これによって、重いガラス軸ではなく、臭いが強く毒性も強い有機溶剤を使わない油性マーカーが誕生したのだ。

初代のロゴは少しだけ違う

「ハイマッキー」のデザインは、発売から42年たった今でも、基本的なところは全く変わっていない。

揮発しやすいアルコール系溶剤のインクが乾かないように密閉するキャップなど、その構造もほぼ同じ。それくらい完成度が高かったのだ。

実は今回、この記事のための取材で、ゼブラにも2本だけしかないという発売当初の「ハイマッキー」を手にとってみたのだが、その42年前の「ハイマッキー」は、普通に字を書くことができた。実際に試したゼブラ広報の池田智雄氏も「あ、書けた」と驚いていたほど。

密閉性を高めるために、キャップを深く差し込めるようにしたこと、そのせいでキャップが外しにくくならないように、キャップに縦の凹凸を付けて、回しながら外すと外しやすいようにするなど、キャップの構造もかなり凝ったものだ。「当時はCADもパソコンもありませんから、1mm方眼紙をつなぎ合わせて、製品の10倍の1m50cmの図面を手で書いて設計したそうです」(池田氏)

太字と細字が分かりやすいように、軸自体を円すい状にして、太い方が太字、細い方が細字とするデザイン、キャップが無くならないように、太字のキャップも細字のキャップも、それぞれ反対側の尻軸に差し込めるようにしたアイデアなども、発売当時から採用されていたもの。軸中央に白で描かれた矢印と製品名を組み合わせたロゴも、基本的なデザインは発売当初から現在まで変わっていない。

とはいっても、実は、このロゴ部分は2回、変わっている。発売当初のロゴは、矢印部分が白ではなく銀色だった。そもそも、ネーミングの「ハイマッキー」の「ハイ」も高級感をアピールするためのもの。当初の高級感を打ち出したかった姿勢がうかがえる。

しかし、この第1世代はコスト的に合わないということで、発売から1年で白に変えられる。

その後は製造物責任(PL)法表記、バーコードの付与以外は、変更していない。「実は、社内ではデザインを変えようという話が少なくとも3回はあったんです。でも、油性マーカーは安心感で買うタイプの製品ですから、親しまれているデザインを変えるのはユーザーへの裏切りになります。また、ニセモノ対策にもなるといった理由もあり、結局は変えませんでした」(池田氏)

コンビニの普及が人気の後押し

ハイマッキー発売から2年たった78年、細字タイプの「マッキー極細」が発売される。こちらの製品名には「ハイ」が付いていないのがややこしいが、デザインはハイマッキーを踏襲したもので、こちらも発売以来、ほとんど変わらず、現在もヒット商品であり続けている。そして、ここから、「マッキーファミリー」ともいえるシリーズ展開も始まっていく。

とはいえ、マジックインキの人気は根強く、「ハイマッキー」も発売後すぐに売れたわけではなかったという。テレビCMを継続的に打ち、知名度を徐々に上げていきつつ、営業マンが地道に営業することで、売り上げをあげていったのだそうだ。

コンビニエンスストアの普及も人気を後押しした。コンビニは売り場が限られているため、1本で2種類のペン先を持つハイマッキーは受け入れられやすかったのだ。そうして、販路を拡張していき、発売から4、5年で大きく売れ始めたという。

基本は5種類

現在、販売中のマッキー・シリーズは全部で18品。ラインアップを把握するのに分かりやすい方法は、まず、太さで見ることだろう。太い順に「マッキー極太」「ハイマッキー」「マッキー極細」「マッキーケア超極細」がある。それに、ノック式のマッキーノック細字を加えた5種類が、本来の油性マーカーとしてのマッキーの本流だ。

ゼブラによるとマッキー極太の大きな芯(平芯)で書ける線の太さは8~17ミリ、小さな角芯は10ミリ。ハイマッキーは細い方が1.5~2ミリ、太い芯でも6ミリだから、その太さがわかるだろう。

ハイマッキーより細いマッキー極細の太さは極細が0.5ミリ、細が1.0~1.3ミリ。それよりさらに細いマッキーケア超極細は0.3ミリと0.7ミリの太さになる。ちなみに「マッキーケア」とは再生プラスチックを使用し、環境への負荷を軽減することを考慮した商品を示す。

マッキーノック細字は、油性マーカーなのにノック式という画期的な製品だ。太さは、マッキー極細の太い芯と同じ。現在のマッキー全体の売り上げでも、ハイマッキー、マッキー極細に次ぐ3位の売り上げを示しているという。

紙に書いても裏写りしないマッキーも

さらにマッキーのラインアップには用途違いもある。

まずは「紙に書いても裏写りしない」というモデル。ハイマッキーで紙に書いたら裏写りしてしまったという経験を持つ人も多いだろう。それが起こらないように、水性顔料インクを使っているのが「紙用マッキー」「紙用マッキー極細」だ。製品の位置付けとしては、「プロッキー」や「ポスカ」(ともに三菱鉛筆)といったPOP用ペンの仲間になる。そのためカラーバリエーションも豊富だ。

文字を書く対象を選ばないマッキーでも、ツルツルしたクラフトテープや凸凹したブロック塀、ぬれた面などにはうまく字が書けない。そういったところにも書けるのが「マッキープロ特殊用途DX」「マッキープロ細字 特殊用途DX」。屋外の建築現場などで使えるようにインクを調整、ペン先も硬めに作られている。

布地に書くことを想定したマッキーもある。「おなまえマッキー両用」「おなまえマッキー細字」は、商品名が示すように、子どもの衣服などに名前を書くために開発された、いわゆるお名前ペン。布地などに使ってもにじみなくクッキリ書けて、洗濯にも強い。

黒いところにも書けるマッキーが、不透明インクを使った「マッキーペイントマーカー」「マッキーペイントマーカー極細」。油性の不透明インクで、黒いところに書いてもクッキリと見える。白や金、銀といった色があるのが特長。

消えたマッキーたち

そして、なんと「消せるマッキー」も登場している。

「水拭きで消せるマッキー」「水拭きで消せるマッキー極細」は、金属やガラスなどのツルツルした面に書くと、指でこすったくらいでは消えないが、水拭きするとキレイに消える。ユーザーからの要望で開発したマッキーだ。

以上はインクの工夫で生まれたマッキーだが、最近登場した「マッキーワーク」は、従来のハイマッキーに新たな機能を加えたもの。細字のキャップ先に、段ボールオープナーが付いている。本体はハイマッキーと同じで、キャップの先だけ違うという新しいバリエーションだ。「段ボールを扱う場所にはマッキーと段ボールオープナーは必須。ならば、くっつけてしまおう」という製品だが、これが握りやすくて段ボールオープナーとしてもなかなか使いやすいのだ。

もちろん、登場したものの消えたマッキーもある。

紙用マッキーの前には、同じ機能の「顔料マッキー」があったし、マッキーペイントマーカーの前には同じ不透明インクの「ホワイトマッキー」があった。両端で色が違う「2色マッキー」、限定販売だった携帯ストラップにもなる超小型「ミニマッキー」もあった。

ギネスにも挑戦

ロングセラーとなったハイマッキーだが、開発にあたっては、慎重なマーケット調査の結果というよりは、社員のアイデアをすばやく形にしたというものだったらしい。

「ゼブラは昔から家族的な会社で、特にマッキーが開発された頃は、マーケティングを行うというより『作りたいものを思いついたら作る』という雰囲気だったようです」(池田氏)

シャープペンシルとボールペンを1本の軸に収めるシャーボが開発されたのもマッキーとほぼ同時期だが、やはり同じようなプロセスで開発されたという。「今も、そのムードは残っていて、開発会議には社長も出席します」(池田氏)

そうして生まれたハイマッキーが定番になった。冒頭で油性マーカーのことをマジックと呼ぶ人が多いという話をしたが、池田氏によると「最近の若い学生には油性マーカーをマッキーと呼ぶ人も増えているようです」とのこと。

ゼブラ社内でも、ここ数年でマッキーをブランドとして盛り上げていくことにしたそうで、例えば、吉田沙保里氏が試し書きをした巨大マッキーでギネスに登録といったイベントも、その一環(2017年9月、全長168.4センチ、直径25.6センチの「ビッグマッキー」が「最も大きなマーカーペン」としてギネス世界記録に認定された)。今後、どんなマッキーが生まれるのか。ハイマッキーやマッキー極細を当たり前に使いつつ、次のマッキーの展開も楽しみにしたい。

納富廉邦
 佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人のカバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

納富廉邦のステーショナリー進化形
 書きやすさ追求 写真で見るキャンパスノートの進化
 最初はオマケだったMONO消しゴム、半世紀の道のり
 ゼロハリからトートに急速進化 ビジネスバッグ30年

(写真 大橋宏明)

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