水揚げしたばかりのウニの甘みと食感 東京・高田馬場

刺し身用のウニを使った「雲丹しゃぶ1人前」
刺し身用のウニを使った「雲丹しゃぶ1人前」

産地で水揚げしたばかりの新鮮なウニの味わいは、ふわりとろけるような食感となんともいえない甘みがある。その味を産地以外で味わうのは難しいとされてきたが、東京にいながらウニ本来のおいしさを楽しめる店が高田馬場にあるという。ウニの新鮮さを保つ工夫があるようだ。

「うに小屋 高田馬場店」はJR高田馬場駅から歩いて5分の、大通りから一本路地に入った場所に2009年にオープンした。高級食材のイメージがあるウニをリーズナブルな価格で提供するウニ専門店だ。ビルの1、2階部分に店舗を構え、座席数は68席。平日と土曜は18時~23時30分の営業、日曜と祝日は17時から22時30分までの営業で、連日多くのビジネスパーソンらでにぎわう店。北海道を中心に旬の産地からウニを入荷して人気を集めている。おいしさの秘密は使われているウニの輸送法にある。

大通りから一本路地に入った場所にある店内

ウニは水分を多く含み、海水から出すと形崩れしやすく、傷みやすい特徴がある。すし店などでよく見る箱板の上にウニがきれいに並べられた状態を「箱ウニ」と呼ぶ。箱ウニは一般に形崩れ防止のため、凝固剤としてミョウバンを添加する。ただ、ミョウバンを添加すると独特の苦味が出てしまうため、産地以外で本当のウニを味わうのは難しいと考えられてきた。このミョウバンの味をウニの味と思っている人もいるほどだ。さらに、時間がたつとウニそのものにも、くさみが出てしまう。

「うに小屋 高田馬場店」で使うのは箱ウニではなく、「塩水ウニ」だ。塩水ウニとはミョウバンなどを使わず、海水と同じ濃度で殺菌された塩水に浸したまま輸送するものを指す。ミョウバンを添加しない塩水ウニを使っているから、本来のウニの味が楽しめるというわけだ。

同店のお薦め料理を紹介する。必食は「うに刺し4種盛り」(1人前2900円税別)。ほぼすべてのテーブルから注文が入るという最も人気があるメニューだ。出されて食べる時に急いでしょうゆをつけないでほしい。まずはそのまま、ウニ本来のおいしさを味わってみよう。その次に、ほんの少しだけ塩を振って味わおう。このひと振りでウニの甘みが引き立つ。提供するウニの種類は季節によって違い、利尻・礼文・浜中・余市など北海道各地のプレミアムウニが入荷することもあるので、食べ比べてみてほしい。甘みの強いエゾバフンウニ、上品なキタムラサキウニ……。見た目も味もそれぞれ違うことがわかる。