――人手不足が深刻です。企業はシニアに期待しているのですか。

「『からだ測定』は昨年夏の正式発表まで開発に約2年半かけました。その間、約1000人のシニアに試行してもらったほか、シニア社員に何を求めるかを企業に聞き取り調査しました。人手不足といいながら、企業の多くは本音ではシニア社員を外に出したいと思っています」

「一番の理由は扱いにくさです。技能職なら能力が明確なので継続雇用するメリットが企業にも見えやすい。ただ、ホワイトカラーなどは難しい。特に管理職経験者は指示する側だった意識が抜けず、立場や役割が変わっても、つい年下の社員に偉そうに接し、煙たがられがちです。定年延長や継続雇用を成功させるにはシニア社員の意識改革が重要だと実感しました」

「同じ社員であっても、企業が若手に求める役割とシニアに求める役割は違います。『からだ測定』の特性判断では、企業のそんな意向を盛り込んでいます。例えば性格診断で仕事への熱意や人に教えるのが好きか否かを見ています。熱意を持って後輩を指導する社員は若手なら評価されますが、シニアが職場で熱く後輩を指導しすぎると周囲は萎縮するため企業は好みません。むしろ人から教わる姿勢を持つシニアを企業は評価しています」

――シニア社員と若手社員が共存するにはそれぞれ何を心掛ければよいのでしょうか。

「企業側がシニアに求めているのは、周囲に溶け込める『かわいらしさ』です。自分の強みばかりを前面に出さず、できないことはできなくてよいから若手の教えを請う姿勢が好まれます。スキル以上に企業はこの『かわいらしさ』をシニアに求めていました」

「若手もシニアを煙たがらずに共に働いていく意識が欠かせないと思います。確かにシニア社員が職場に残り、ポストを譲らなかったり高収入をもらい続けていたりしたら、おもしろくないかもしれません。ただ日本は人口減少を解決できず、今後深刻な人手不足社会になります。シニアの手をうまく借りられなければ自分たち世代の負担が重くなることを忘れてはいけません。シニアを尊重する意識を若手も持つべきです」

(編集委員 石塚由紀夫)

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