エンタメ!

ビジュアル音楽堂

パーカッショニスト加藤訓子 ライヒの大作1人12役

2018/11/10

世界的パーカッショニストの加藤訓子氏が、米国の作曲家スティーブ・ライヒ氏の大作「ドラミング」を1人12役で多重録音した。リズムと旋律の執拗な反復と微細な変化を特徴とするミニマルミュージックの代表作だ。マリンバから口笛やピッコロに至るまで、すべての音符を一人で鳴らしつくした。ロックをしのぐほどのグルーブ感を生む演奏について加藤氏に聞いた。

キューバ音楽やサルサで重用される打楽器ボンゴによるアフリカ風のリズムがスピーカーから延々と流れる。ステージ上には2ペア(4個)のボンゴ。加藤氏がたたき続けるボンゴの生演奏が再生音源と絡まり合い、独特のグルーブ感を生み出す。11月2日、山野楽器銀座本店(東京・中央)で開かれた加藤氏の「ドラミング」ミニコンサート。全4楽章、約70分間の楽曲のうち第1楽章を、1人での生演奏とスピーカーからの音源再生の組み合わせで披露した。

マリンバからピッコロまで12人分を1人演奏

スピーカーから流れる音源もすべて加藤氏の演奏によるものだから、「カラオケ」と呼ぶのは当たらない。一人で全パートを演奏した「ドラミング」は世界でも初めてという。「細かい音まで全部聴ける」とライヒ氏も絶賛した加藤氏のCDアルバムは10月12日世界発売の「スティーヴ・ライヒ ドラミング」(発売元:英リン・レコーズ、輸入・発売:東京エムプラス)。彼女が1人12役でレコーディングした曲なので、ライブと音源が混然一体となったコンサートになる。

最短・最小のシンプルなリズムと旋律を繰り返し、微細な変化を加えながら移行していくミニマルミュージックは「反復音楽」ともいわれる。その大御所がライヒ氏だ。「彼はドラマーだった。打楽器奏者に通じるところがある」と加藤氏は言う。自らの音楽を求めてアフリカに渡ったライヒ氏がその成果として1971年に世に問うたのが「ドラミング」だ。通常はボンゴとマリンバ、グロッケンシュピーゲルの打楽器奏者9人、ピッコロとボイス、口笛1人ずつの計12人で演奏される。

「根源的なリズムとシンプルな音。この曲が契機となってミニマルミュージックが確立された」と加藤氏は「ドラミング」について指摘する。「単純なリズムを一人一つもらって1時間延々と演奏するだけなのに、楽しくてトランス状態になる」。日本をはじめ世界各国の伝統行事には、太鼓で同じリズムをずっとたたき続け、その上に笛や歌が乗っていく祭りばやしが多い。ループのような反復音楽の根底には「人間に興奮状態を引き起こす力がある」と話す。

エンタメ! 新着記事

ALL CHANNEL