「ライセンスを取ったのは2年生の時です。4カ月くらいでライセンスが取れました。『自分は向いている』と思い、そこからどっぷりとはまってしまいました。デビュー戦で勝利し、翌年、日本新人王トーナメントに出場できることになりました」

「トーナメントは1年間を通してあるので、大学を1年間休学することを決意しました。その間、タイに3カ月ほど住んで修業したんですが、まさかの1回戦で負けてしまいました。(笑)次の年も休学するというのは、さすがに親不孝だと思い、ボクシングを辞める決断をしました」

 ――ボクシングの経験でビジネスに生きていることはありますか。

「ボクシングの経験が生きているかどうかは分かりませんが、多少のことではへこたれないです。ボクシングは肉体的にタフであることが求められますが、もっとタフなのは精神的な側面です」

「一番つらいのは減量です。実際、軽量前日にサウナにいった時に、『水』という漢字を見るだけでよだれが止まらなくなったんです。試合前は減量をしながら練習量を増やして行くので、精神的にも体力的にも相当鍛えられますね」

■「ここからは逃げられない」という恐怖に勝つ

「この減量のフェーズがあって、さらに一番精神的にタフなのは試合前にボクシンググローブをはめられた時です。グローブをはめられた瞬間、『あぁここからは逃げられないんだな』という感覚が湧いてきて恐怖心がピークに達します。すぐに試合に勝とうという気持ちに変わるんですけどね」

「あと、プロの試合ではマスクはつけません。さらにグローブも、練習で使うものより軽くて薄いものです。あまり知られていませんが、人間は自分の拳を守るために、素手でたたくときは本能的に力をセーブするんです。しかしグローブがあるとセーブしない。ですから実は素手でたたかれるより痛いんです。そういう経験を乗り越えてきたので精神的には相当タフになったんじゃないでしょうか(笑)」

甲斐真一郎
1981年生まれ。2000年京都大学法学部入学後、1年半プロボクサーとして活動。ゴールドマン・サックス証券、バークレイズ証券を経て15年12月から現職。

聞き手/平片均也 撮影/筒井義昭

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