存続危ういアマゾン先住民、美しい日常 撮影秘話

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/11/14
ブラジルの密林の中の開けた場所に、アマゾン先住民の住まいがある(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

ハミルトン・ジェームズ氏は、アワ族が直面する困難について十二分に承知している。文字通り侵食してくる力にさらされ、村人たちが暮らす孤立した森林地帯は過去最小となっている。「やがて食べ物が尽きてしまうでしょう。広げられる土地はもうありません。あるひどい年には、村人たちは森林の3分の1を火事で失いました。かなり絶望的な状況です」

美しい光景

しかし、アワ族の人たちが朝の水浴びをしに川へ行くときには、そんな絶望はどこにも見当たらない。彼らはこの時間を使ってリラックスし、水に浸かり、1日の予定を立てる。ペットのカメに水浴びをさせる人々の姿に、ハミルトン・ジェームズ氏はすっかり魅了された。「最もフォトジェニックで美しい光景でした」と彼は振り返る。「誰もカメラを気にしていない中で、ただそこに立って撮影できるのは、まさに素晴らしいことでした」。こうしたくつろいだ瞬間の平穏と美を切り取ることで、アマゾン先住民の人間性と幸福を強調したいとハミルトン・ジェームズ氏は願っている。

実はアワの人々と過ごした時間だけが、写真家とアマゾンを結びつけているわけではない。

2012年、ハミルトン・ジェームズ氏はペルーにあるマヌー国立公園を違法伐採業者から守ろうと、公園の一部の土地約40ヘクタールを買い取った。だがその後、自分が購入したのはコカの違法栽培用地だったと判明した。アマゾンの貧困、保護、先住民の村々、森林伐採をめぐる厄介な問題(違法伐採業者との生活からシャーマンの助手を務めることまで)を理解しようとしているが、彼の見解は混乱する一方だ。

個人的に新たな真理も見つかった。「私はずっと、問題は人間にあるのだと考えていました」と氏は言う。「今は人間が大好きです」

その愛情はアワの人々を撮った写真から伝わってくる。ペットのサルを連れた子どもたちのくつろいだショットから、スマートフォンを持ったアワ族の若者たちが、現代社会と孤立した村との間を行き来する様子まで、ハミルトン・ジェームズ氏は様々なアワ族の姿をとらえている。

「人々を対象物として扱いたくはありません」と彼は言う。「世界の貧しい人たちを無視していれば、私たちは大きな危険に見舞われます」

次ページでも、ハミルトン・ジェームズ氏が、今回の取材で撮影した写真を紹介しよう。

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