週末レシピ ダイコンの煮物、準備次第で美味100倍
寒くなると甘味が増すダイコンのおいしい季節がやって来ました。ダイコンは生でも良し、煮ても良し、漬けても良しの三拍子そろった万能野菜ですが、それでもなかなか1本使い切るのが難しい……という方たちのために今回は和食の定番、ダイコンの煮物料理を紹介します。
まずは、ダイコンを煮物にする際の下準備から。いきなり煮汁に入れて煮るのではなく、しっかり下準備をすることで、よりおいしい煮物ができるのです。おでんに入れるダイコンも同様にしてください。
<材料>
ダイコン 2分の1本 / コメ 一にぎり(約大さじ3~4) / 水 適量
(1)ダイコンを幅2センチに切り、面取りをする
*面取りはダイコンの切り口の角を浅くそいで、丸くすることです。煮崩れ防止にもなります。面倒であれば、省略してもかまいません
(2)ダイコンの断面の片方に5ミリメートルの深さに十字に切り込みを入れる
*味が染み込みやすくなります
(3)鍋に(2)のダイコンとコメを入れ、ダイコンがかぶる位の水を入れ、落とし蓋をして中火にかける
(4)沸騰したら弱火にし、竹串が通るくらいの軟らかさになるまで、約20分煮る
(5)そのまま自然に冷ます。人肌の温度になったらダイコンを取り出し、水でよく洗う
もしかしたら「面倒くさい~」と、思われる人もいるかもしれませんが、この下準備をするとしないとでは、味の染み込み方に大きな差が出てきます。時間は少しかかりますが、作業はとてもシンプル。できあがった時のおいしさを想像しながらぜひチャレンジしてみてください。
昔はこの下準備にコメと水ではなく、コメのとぎ汁を使うことが通常でしたが、最近は無洗米や玄米を使う家庭が増え、コメのとぎ汁が出ない場合も多いので、今回はコメと水を使用する例をご紹介してみました。もちろんコメのとぎ汁がある場合はそちらを使っても大丈夫です。
それでは、冬の和食の定番、大根の煮物を作っていきましょう。
<材料:2~3人分>
下準備をしたダイコン 2分の1本 / だし 600ミリリットル / しょうゆ 大さじ3 / 砂糖 大さじ2 / 酒 大さじ2 / サヤエンドウ 10枚
(1)鍋にだし、しょうゆ、砂糖、酒を入れて強火にかけて一度沸騰させます
(2)(1)に下準備した大根を入れて落とし蓋をして弱火にします
*落とし蓋は木蓋がなければ、オーブンペーパーやクッキングペーパーまたはアルミホイルでも大丈夫です。鍋の直径に合わせて成形してください
(3)(2)の状態で30~40分煮ます。その間に小鍋に湯を沸騰させ、塩少々(分量外)を加えてサヤエンドウをさっとゆでて水に取って色止めします。水気を切ったサヤエンドウを斜めの千切りにし、再び水に浸して種を取り、水気を切ります
(4)ダイコンを器に盛り付け、サヤエンドウを飾ります
・沸騰した煮汁が蓋に当たり、むらなく煮含めることができる
・材料を軽く押さえながら加熱することができるので、煮崩れ防止
・完全に蓋をしていないので、食材の臭みを取ることができる
和食には欠かせない調理法なのでぜひ、お試してください。
ダイコンは煮あがってすぐにいただいてもいいのですが、1晩置くとさらに味が染みてよりおいしくいただけます。これからの季節は日本酒のぬるかんと合わせると最高ですね。もちろん熱かん、冷酒や焼酎もと合うので、ぜひ組み合わせを楽しんでみてください。
さて、同じ下準備をしたダイコンを使った、もう1つのレシピをご紹介しましょう。甘味噌をとろっとかけた「ふろふきダイコン」です。
<材料:2~3人分>
下準備をしたダイコン 2分の1本 / 味噌 60グラム / 砂糖 50グラム / 酒 大さじ2 / だしを取った後のコンブ 適量 / ユズの皮 適量
(1)鍋に水適量とコンブを入れてひと煮立ちさせ、下準備をしたダイコンを入れて弱火で温める
*だしを取った後のコンブを使用してもいいです
*煮るのではなく、ダイコンが温かくなる程度に加熱する
(2)鍋に味噌、砂糖、酒を入れてヘラでよくかき混ぜる。弱めの中火にかけ、ヘラを動かし、混ぜ続ける。トロみとツヤが出てきたら火からおろす
*味噌が焦げやすいので、常に混ぜることがポイント
*今回は仙台味噌を使いました。赤系の味噌が比較的合うと思いますが、ほかの味噌でもおいしく作ることができます。お好みの味噌でお試しください。白味噌など塩分が少ない味噌を使う場合は砂糖を少し控えめにしてください
(3)ユズの皮を千切りにする
*ユズの皮のワタ(白い部分)はなるべく入れないでください。苦味が強い場合があります
(4)器に小さく切ったコンブを置き、その上にダイコンをのせ、温めた(1)の汁を注ぎ、味噌をかける。最後にユズの皮を飾る
甘味噌は多めに作って冷蔵庫で保存しておくと便利です。ダイコン以外にも、ゆでたカブや鶏肉、豆腐などと合わせてもおいしいです。
ダイコンは古くはエジプトで、ピラミッドの時代から食べられていたという記録があり、日本に1200年以上前に渡来したという説があります。「日本書紀」(720年)にはダイコンの古称である「おほね」の名で登場するとか。
日本各地に広まったダイコンは、世界でも例を見ないほど多くの品種が作り出され、その数は100種類を超えるとされています。練馬ダイコン、桜島ダイコン、守口ダイコンなど全国にダイコンがある中で最も多く流通し、店頭で見かけることができるのは青首ダイコンです。青首ダイコンの特徴は、肉質が緻密で甘味が多く、病気にもなりにくい。栽培しやすいため、各地で栽培されています。主な産地は北海道、千葉県、神奈川県、宮崎県と、幅広いです。
ダイコンは、部位によっても特徴があります。葉の部分には根に含まれていないカロテンが豊富です。また、食物繊維、ビタミンCも根より多いので、葉付き大根を購入したら葉を捨てないで活用してみましょう。例えば塩ゆでして刻み、ご飯に混ぜて菜飯にしたり、じゃこといためたり、いろいろと活用できます。
上部は葉に近く、日光を浴びているので、甘くてビタミンCが多く含まれています。甘味が多いのでサラダなど生食に適しています。中部は辛みも弱く、肉質も軟らかいので煮物などに適しています。下部は生で食べると辛みが強いです。辛みの効いたダイコンおろしにはこの部位が合います。加熱すると辛さはなくなるので、煮物やいため物にも適しています。
ビタミンCが豊富なダイコン。冬の大切な栄養源を積極的に食べたいですね。いろいろな調理法にチャレンジし、たくさん食べて、寒さに備えましょう。
(GreenCreate 料理研究家 橋本加名子)
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