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「五輪貴族」に新風 サラリーマンからIOC委員へ

2018/11/10 日本経済新聞 朝刊

国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長(59)が10月、国際オリンピック委員会(IOC)委員に就任した。IOCが重視する五輪有力競技のトップである渡辺氏には、2020年五輪を控える日本側とIOCとのパイプ役が期待される。

渡辺氏は体操選手としては無名だが、学生時代に留学したブルガリアで新体操と出合い、帰国後はジャスコ(現イオン)に入社して新体操教室の展開などに尽力した。同社元社長で日本体操協会会長に就任した二木英徳会長を側近として補佐、二木氏の勧めもあって国際体操界に進出し、16年10月のFIG会長選で当選した。

もともとは普通のサラリーマン。貴族や王族、元五輪選手が多いIOC委員では異色の存在といえるだろう。

五輪開催都市を決める投票権を持つIOC委員は、国や地域の代表ではなく、民間組織のIOCによって選任される。スポーツを通じて世界平和へ貢献する五輪運動を広めるためにIOCが各国・地域に置いた大使とイメージすると分かりやすい。かつては定員も任期も定年もなかった。

国や組織の意思と無縁の投票行動ができるため、招致都市による買収工作の横行も知られている。現在のIOC委員は上限115人と定められ、国際競技連盟(IF)会長、各国・地域のオリンピック委員会(NOC)会長、現役選手から選ばれるアスリート委員(引退から4年以内を含む)にそれぞれ15人(任期8年)の枠がある。渡辺氏はIF会長枠として選出された。

五輪招致熱は冷え込み、その求心力も低下している。五輪貴族と呼ばれたIOC委員も変わっていくのだろう。

(編集委員 北川和徳)

[日本経済新聞朝刊2018年11月8日付]

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