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勤務中1時間ごとに喫煙 会社は法的に制限できるのか 弁護士 志賀剛一

2018/11/8

前述した慣行がある場合でも使用者が社内の喫煙所を撤去してしまえば労働者は外部で喫煙するしかなくなりますが、これは往復時間もかかり、持ち場を離れることになるので職務専念義務違反と認定される可能性が高くなります。

なお、あなたはトイレの回数が多い人、長い人を引き合いに出していますが、たばこという個人の嗜好の問題と生理現象は同一に論じられないと思います。もちろん、スマートフォンを操作するためにわざとずっとトイレにこもっているような人は別途、職務専念義務違反が問題にされるでしょう。

■非喫煙者に最大6日の有給休暇を付与

喫煙者・非喫煙者を問わず、使用者が昼休み以外に一律15分程度、午前と午後に休憩時間を新たに設け、喫煙はそこだけにするというような解決がもっともハッピーですね。

しかし、時代はむしろ反対の方向に向かっています。昨年、あるIT企業が「スモ休」なるものを導入し、話題になりました。つまり、たばこを吸わない労働者(非喫煙者)に対し、1年間に最大6日の有給休暇が特別に付与されることになっているそうです。非喫煙者からの、喫煙者のたばこ休憩に対する不満の声がこの制度の出発点になっていると聞きます。

さらに本来、使用者は労働者の私生活までは制限できないはずですが、最近は社員同士の懇親会などの場で喫煙を禁止する項目を就業規則に追加した企業も出てきています。私も今や嫌煙権者の一人ですが、個人的な意見としてはそこまでするのは酷な気がします。

■非喫煙を採用条件にする企業も

ちなみに、採用に際して有名リゾート企業など喫煙者をとらない企業が増えていますね。入社条件で不合理な差別をすることは許されませんが、非喫煙を採用条件にすることについて厚生労働省の就労支援室は「合理的な理由があれば一概に差別といえない」との立場をとっており、今後ますますこのような企業が増えていくのではないでしょうか。

最近、千葉県で健診を行う公益財団法人が看護師などの求人票に「非喫煙者に限る」との条件を記載するよう求めたところ、ハローワーク千葉が「たばこは個人の問題」として拒否したとの報道に接しました。ハローワークの担当者が喫煙者だったのでしょうか。いずれにしても時代に逆行する残念な取り扱いといわざるをえません。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。

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