――スーツを着るのはどのような場面ですか。

「極端に言えば、着なければいけないときですね。私にはファミマの代表という立場があります。ですから私個人を主張することよりも、周りの人のことが気になります。この会合にはどんな人が来ているとか、次に会う相手は誰だとか。失礼があってはいけませんからね。立場にふさわしいスタイリングで臨んだ方がいいと思ったときは、やはりスーツを選びますね」

■相手に嫌な思いをさせたくない

「何よりも相手に嫌な思いをさせたくないですね。自分自身を主張するよりも、相手と一緒に気持ちよく時間をすごすことが大事です。一緒にいるのなら、やはりその場を楽しくしたいと思うので。服装で不愉快な思いはさせたくないですね」

――スーツをめぐる逸話はありますか。

「スーツを着ていなくて、『完全に場違いだな』と失敗したことがあります。(カジュアル衣料品店『ユニクロ』を運営するファーストリテイリングを退職後、)企業再生ファンドのキアコンを手がけているときに、当時としては画期的な融資の仕組みを日本で初めて作ったんですよ。かなり話題になって、経済産業省での大きな会議に説明に呼ばれたのですが、そこにジーンズで行ったんです。他の出席者はビシッとしているのに」

「Tシャツとジーンズだったかな。ジャケットは着ていませんでしたね。すごい嫌なやつですよね。『俺が沢田だ』みたいで、勘違いも甚だしい。おごりでしょうね。今考えると恥ずかしいですよね。やっぱり立場というものはあるし、その場の雰囲気もあります。そこでどう振る舞うかは、すごく重要だと今は思いますね」

■毎年トライアスロンにチャレンジ

――どうして考え方が変わったのですか。

「キアコンの後に設立した企業支援会社リヴァンプで痛い目にあったからでしょうか。支援先の経営が思うようにいかなかったり、キャッシュ不足で自分の会社の社員に給料を十分に支払えなかったりしたこともありました。これは本当に深く反省しました。自分の力を勘違いしていました。ファミマの社長になってからは、今までとは全然立場が違うので、その考えが一段と進みました。」

――ご自身はかなりスリムな体形ですが、維持するために気をつけていることはありますか。

「本当にくたばるまで仕事をしたいので、健康でいたいんです。体形維持というよりも、健康でいるために運動は欠かさずしています。泳いだり、バイクをこいだり、走ったり、毎年トライアスロンにチャレンジしています。実は5年前に胃がんになったんですが、それ以来、以前にも増して健康を意識するようになりました。やはり、リーダーに元気がないと、会社が良くなりませんからね」

沢田貴司
1981年上智大理工卒、伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社、98年副社長。02年にファストリを退社後、企業再生ファンドや企業支援会社を設立。16年5月ファミリーマート取締役、9月から現職。

聞き手/平片均也 撮影/筒井義昭

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