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聖火リレー、回りきれない! 「我が町に」要望が殺到 全都道府県で12月末までにルート作成

2018/11/14 日本経済新聞 朝刊

1964年の東京五輪では、聖火リレーの総距離は6700キロにのぼった

2020年東京五輪の聖火リレーを巡り、都道府県の担当者がルート選びに頭を抱えている。市町村の大半が誘致を求めたり、県土が広すぎて効率よく回ることが困難だったり。各都道府県が大会組織委員会に「ルート案」を提出する期限は12月末。関係者は調整の難航に気をもみながら選定作業を急いでいる。

「全ての自治体を回るのは事実上不可能。でも希望はかなえてあげたいし……」。埼玉県オリンピック・パラリンピック課の斎藤勇一課長は頭を悩ませる。

47都道府県を巡ることが決まった聖火リレーについて、大会組織委は7月、全都道府県に各地の特色や魅力を生かした詳細なルートをまとめるよう要請。これを受けて県内63市町村に意向調査を行ったところ、9割の自治体が誘致を要望した。

組織委はルート作成に当たり「1人の走者の走行距離は約200メートル」「走者は1日約80人」「時間は1日につき8時間」などの条件を提示。埼玉県の日程は7月7~9日の3日間で、最大約48キロしか走れない計算だ。

「町が盛り上がるきっかけになる」「少しでいいから来てほしい」と多くの自治体がコース案を持って県庁を訪れており、「本当に難しい」と斎藤課長はため息をつく。

聖火リレーのスタート地点となる福島県は8月、「東京2020オリンピック聖火リレーふくしま実行委員会」を設立。東日本大震災と福島第1原発事故から復興が進む姿の発信を目指す。同県オリンピック・パラリンピック推進室によると、甚大な被害を受けた沿岸部などの15市町村を含め、多くの自治体が誘致を要望しているという。

リレーは3月26日から3日間の予定だが、同室の鈴木淳主幹は「県土が広く、走って様々なところを回るのは不可能」。車での移動も認められているが「それでは被災地の風評被害の払拭につながらない」と話す。

1964年の東京五輪で沿道を埋めた観衆の前を走る聖火ランナー

11月中旬にルート案を実行委に提示する予定だが、委員会メンバーなどから異論が噴出する可能性もあり、選定の行方は不透明だ。

東京都は7月10~24日に全62区市町村を回ることを決めたが、都オリンピック・パラリンピック準備局の担当者は「(ルートは)まだほとんど決まっていない」と明かす。

最大の課題は小笠原村や八丈町などの島しょ部への移動。聖火リレーは通常、数百メートルの「聖火リレーキャラバン隊」と呼ばれる車列を伴うが、ヘリや船で移動する場合、キャラバン隊の帯同は難しい。移動時間もかかるため、「日程内に回りきれるルートをよく考えなければいけない」(担当者)。

都は12月、3回目の「聖火リレー実行委員会」を開いてルート案を決定する方針。担当者は「自治体や住民が納得できる内容にするため、急いで調整を進めたい」と話している。

■64年東京五輪、10万人で走破

1964年の東京五輪の聖火リレーでは、8月にギリシャで採火式が開かれた後、中東や東南アジアを経由し、9月、日本に返還される前の沖縄に到着した。その後、鹿児島、宮崎、北海道の各ルートに分かれて47都道府県を巡り、東京へ向かった。

地上リレーの総距離は6755キロ、リレー総区間4374区間、参加走者は10万713人に上った。

72年札幌冬季五輪でも聖火は沖縄に到着し、東日本経由で北海道内を3ルートで回った。98年長野冬季五輪は沖縄、鹿児島、北海道の3ルートで出発し、全都道府県を走った。

[日本経済新聞朝刊2018年11月3日付]

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