非常時にも活躍 使いやすいアウトドア用コンロ5選
災害時に役に立つのがコンロなどの調理器具だ。非常食のレトルト食品を温めたり、フリーズドライ食品の調理、温かい飲み物に使うお湯を沸かすなど、コンロの必要性も高くなる。卓上「カセットこんろ」などを普段から使用している家庭は一定の備えがあるといえるが、避難で持ち出すにはややかさばるのが難点だ。
アウトドア用のコンロ(ストーブともいう)は、コンパクトに収納できるものも多く、燃料の種類も用途に合わせて豊富だ。普段のアウトドアはもとより、災害時にも使えるコンパクトコンロを種類別に紹介したい。基本的にはテントや室内での使用は禁止されているものなので、使用する際は注意したい。特に、震災直後などガス漏れが疑われる場所では、安全を確認できるまで使用しないほうが良いだろう。
家庭用ガス缶が使用できるコンパクトコンロ
キャンプ用コンロにはOD缶と呼ばれるキャンプ用ガス缶を使用するものが多い。火力も強く、安定感もあるが、普段キャンプに行かない人にはハードルが高い。SOTOの「レギュレーターストーブ ST-310」(税抜き5200円)は、家庭用カセットこんろで使用するガス缶(CB缶)を使用するためキャンプ用としては経済的で、防災用としてはガス缶の汎用性が高く備えに適している。
ゴトク部を折りたたむと手のひらに乗るサイズに収納され、クッカー(アウトドア用の鍋)に収めることも可能だ。イグナイター(圧電点火装置)を備えており、簡単に着火、消火が行える。気温が低い時期にガスボンベが冷えることで火力が下がるのを防ぐマイクロレギュレーターを備えており、安定した火力を維持するほか、クッカーからの放射熱でボンベが過熱するのを防ぐ遮熱板もある。
風防などオプションが充実しているのもポイントだ。屋外で使用する場合、強風によって火が流れてしまったり、消えてしまうことがある。風防があることで、屋外でも安心して使用できる。点火アシストレバーやケースなど初心者でも安心して使えるオプションが豊富なのも良い。溶岩石プレートなど本格焼肉ができるオプションまであるのは驚くばかりだ。
将来はアウトドアでも使うかもしれないので、とりあえずひとつ備えたい、という人には、まずこれをオススメしたい。
手軽さと拡張性に富むアルコールバーナー
アルコールストーブは静かなのと寒い時期でも燃えやすいため一時期流行したが、冬季用のガスカートリッジの開発によって趣味のコンロ的な位置付けになってしまった。しかし、最近では軽量コンパクトなストーブとして再び見直されつつある。
代表的なものには、スウェーデンのトランギア、国産ではエバニューなどがある。特にエバニューの「チタンアルコールストーブ」(税抜き3800円)は、わずか34gと軽量なうえ、直接カップを載せてお湯を沸かすことができる。ゴトクや風防、クッカーなどのオプションも充実している。
キャンプにも災害時にもマルチに使うには、風防を兼ねた組み立て式スタンド(ゴトク)がセットになった「アルコールストーブスタンドDXセット」(税抜き7600円)や、クッカーとスタンドをセットにした「チタンポット500ストーブセットRED」(税抜き1万1700円)を提案したい。組み立て式のスタンドの中にアルコールストーブが格納でき、さらに容量500mlのクッカーに収まるというコンパクトなシステムだ。
ガスコンロと比べて火力が弱いとされているアルコールストーブだが、スタンドの空気孔から引き込まれた空気が熱により上昇気流となり、効率的な酸素供給が行われて安定した強い火力が得られる。セットのチタンポットは、底面に段差がありスタンドと噛み合って使用時の安定性を高めている。
燃料用のアルコールは薬局でも購入できるので入手も簡単。ススや臭いもほとんどなく、燃焼時の音も静かなので夜のキャンプ場でちょっとお茶を入れたいなどの際にも気軽に使える。手入れが簡単で故障する部品もほとんどないので、いざという時に使えないといったトラブルが少ないのもメリットだ。
コンパクトで高出力なキャンプ用コンロの代名詞
キャンプ用のガスコンロとして世界的にも有名なのが「プリムス P-153 ウルトラバーナー」(税抜き9000円)だ。キャンプ用のOD缶を使用するので非常用だけの用途には向かないが、これからアウトドアデビューしたいという人にとっての最初の1台としてオススメだ。
X字型のゴトクが風防を兼ねており、クッカーの安定性と火力の安定性に貢献している。アウトドアでは強風によって炎が消えてしまうことがあるがX字ゴトクで4分割されているため、一区画が消えてしまっても残りの区画は消えずに火力を維持できる。OD缶とあわせて収納できるコンパクトさ、圧電点火装置が備わっており点火が容易なことも、オススメする理由だ。
ビギナーからベテランまで幅広く愛用者がいる定番モデルなので、アウトドアだけでなく災害時においても、ユーザーを裏切らないアイテムといえるだろう。
侮れない実力を秘めた固定燃料のコンロ
固形燃料のコンロで紹介したいのがエスビットの「ポケットストーブ・ミリタリー」(税抜き1500円)だ。ミリタリーというのはタブレット型の燃料で1箱が14g×6タブレットとなっている。ブリスターパックになっており、湿気などに強く長期保存に適している点がメリットだ。
ミリタリータブレット1つで12分燃焼し、500mlの水を沸かせる。液体燃料よりも取り扱いが容易で、ガスよりもコンパクト。他のコンロを持っていたとしても故障や燃料切れの際のバックアップとしての活躍が期待できる。
条件にもよるが、ミリタリータブレット1つで1合の米を炊くこともできるので、バックアップ用として死蔵するにはもったいない実力を秘めている。
とにかく災害に備えたい人向けのコンパクトコンロ
アウトドアで使う予定がほとんどないという人には、岩谷産業の「ジュニアコンパクトバーナー」(実売価格税抜き3600円程度)を提案したい。カセットこんろ用のガス缶(CB缶)を使う折りたたみ式のコンパクトコンロで、樹脂製のハードケース付きなので非常用の持ち出し袋に入れておくのにも適している。
ゴトク部が風防のようにバーナーノズルを覆っており、屋外での使用にも強い作りになっている。圧電点火式の着火装置も付属で取り扱いも容易だ。
アウトドア用として軽量化されたコンロと比較するとやや重量があるが、キャンプやトレッキングに持ち出しても十分通用する性能だろう。
(ライター 戸津弘貴)
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