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朝原宣治さん 36歳で獲ったメダルとモチベーション 元陸上五輪メダリストに聞く(中)

日経Gooday

2018/11/8

36歳でオリンピックに出場し、男子トラック種目初のメダルを獲得した朝原宣治さん
日経Gooday(グッデイ)

かつて、アスリートとしては高齢の36歳でオリンピックに出場し、4×100mリレーで男子トラック種目初のメダルを獲得した朝原宣治さん。そんな朝原さんに自身の「体と心のマネジメント法」について聞いた。今回はモチベーションと集中力を維持する秘訣についてだ。

◇  ◇  ◇

――朝原さんといえば、2008年、36歳というアスリートとしては高齢で、北京オリンピック4×100mのメダルを獲得されたことが話題となりました。あらためて振り返ってみて、参考になるような高齢選手のケーススタディがない中、気力やパフォーマンスを大きく落とすことなく、世界の第一線で活躍し続けられた理由は何だと思われますか?

僕は30代になるまで、いろんなことを試しながら競技生活を送っていたんです。例えば冬季トレーニングは、スピードを落として走り込みを行い、春先にスピードを上げてシーズンに臨むといった、多くの陸上選手がやるような正統派のアプローチはもちろん行いましたが、冬場に室内大会に出場しながらスピードを全く落とすことなく、シーズンを迎えた年もあります。

ウエートトレーニングのやり方も毎年変えていました。ドイツに留学してドイツ流のトレーニングに励んだ年もあれば、米国で全く違う理論によるトレーニングを試した年もあります。その後はドイツ流と米国流をミックスさせたトレーニングを考えたりして…。現役時代、同じような冬季トレーニングをしたという記憶がないのです。

だから30歳を超え、加齢による体力などの衰えから、練習方法を量から質に変えるといった必要性にかられても、気持ち的に全く違和感なく取り組めました。つまり、成功体験に頼らないトレーニング方法をずっとしてきたんです。

■飽きないようにトレーニングのアプローチを変える

――いい結果が出ると、成功体験に頼りたくなりがちですが。

僕は同じトレーニングをやるのが嫌なんです。同じことを繰り返すと飽きるから。飽きることは、モチベーションや集中力を低下させます。それは仕事でも同じでしょ? だから、シーズンが終われば結果に関係なく、今年の冬季練習はどんなアプローチにして、どんなふうに来シーズンを迎えようかと考えていました。今シーズンはこんなふうに走っていたので、フォームをこう改善して、練習はこうしようと、自分なりの課題やテーマを持って、新しいことに取り組むのはワクワクしましたね。

27歳の時にくるぶしを骨折して長期休養に入り、一度トレーニング方法やフォームなどをリセットして、ゼロから構築し直している時期があります。リハビリから始めて再び第一線の舞台で走れるようになったのも、大きな自信につながりました。それも、過去の経験にしがみつかなくても平気な理由の一つかもしれません。

現役生活終盤は、当時JISS(国立スポーツ科学センター)で動作のデータ計測・分析をしてくださっていた松尾彰文先生(現在は鹿屋体育大学非常勤研究員)にサポートしてもらい、データの中の一番良い数値と自身の動きの感覚をすり合わせながら、先生とディスカッションを重ねて理想のフォームを追求していました。仮説を立てて試合の結果から検証する。結果が良くても悪くても仮説と大幅に違うのは気持ち悪くて、なぜこうなったのかをよく考えていましたね。

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