横川竟氏はすかいらーくグループを離れた今、カフェ業態「高倉町珈琲店」の展開にまい進している

――「ジョナサン」では、日本の外食企業として最初に有機野菜を採用されました。

野菜の買い付けで農家を回っていた時、農家の人が皮膚をすべて覆い、ゴーグルをつけて農薬をまいている光景を見ました。そうしないと市場が引き取ってくれないのだと。自家消費の野菜は、別のところで農薬を使わずに育てている。

そこで、うちは多少虫食いしていても引き取るから減農薬にしてくれ、トマトは完熟したものが欲しいなどと交渉しました。これが無農薬栽培になっていくのですが、畑はまだ化学肥料を使っていたので、有機栽培ではない。「ジョナサン」で1993年に「生で食べられるホウレン草サラダ」としてメニュー化するのですが、この段階ではまだ、有機っぽいものでした。

その当時、有機野菜ということが少し言われ始めていたのですが、量が少ないし値段も高くてとても使えない。そこで農家と組んで、一品ずつ有機野菜に変えて行こうと考えました。ただ、農家と契約栽培の形にしても、彼らは市場の相場が安い時は全量こちらにくれますが、相場が上がると、こちらへの納入量を減らし、市場に出してしまう。そこで、農業をきちんとビジネスとして考えている人を探せということで、ある人と出会い、本格的に有機野菜を使えるようになりました。

――「食」の今後を考えると、食の簡便化が進んできたことで、子供たちが魚は切り身で泳いでいると思っている、などといったことも言われるようになりました。今後の食育についてはどのようなお考えをお持ちですか。

健康に生きていくための教育であって、魚の形がどうか、といったことは関係ない。文部科学省や農林水産省の言っていることなんて、素人の食育ですよ。カルシウムの吸収をよくするにはどうすればいいか、髪の毛が抜けないようにするためにはどんな食べ物をどのように取ったらいいかといったプロの食育をすべきです。

――今はすかいらーくグループを離れ、「居心地の良い場」をコンセプトにした「高倉町珈琲」という形でカフェの展開を始められました。80歳とは思えません。お元気ですね。

「高倉町珈琲」は今20店ですが、まだまだできていないですね。これから小型のCKを作って、現場を楽にし、店舗数も増やしていこうと考えています。やはり100店を超えないとだめですね。この段階で本格的なCKを作り、より安全なものを提供できるようにする。スーパーもコンビニも外食も、良いものでないと売れないというようにしなくてはいけませんね。私は仕事をしているときが一番楽しい。もう年だから、家でゆっくりして居ろなんて言われたら死んでしまいますよ(笑)。 

横川竟
1937年長野県生まれ。62年ことぶき食品設立、取締役。74年すかいらーくに商号変更、常務。80年ジョナサン代表取締役社長。97年すかいらーく代表取締役会長。03年農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、すかいらーく最高顧問、日本フードサービス協会会長。05年内閣府「食育推進会議」専門委員。07年すかいらーく代表取締役会長兼社長 最高経営責任者。08年きわむ元気塾 塾長。14年高倉町珈琲 代表取締役会長就任、現在に至る

(ジャーナリスト 加藤秀雄)

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