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ファミレスで有機野菜導入が奏功 すかいらーく創業者

すかいらーく創業者 横川竟氏(下)

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NIKKEI STYLE

有名シェフの指導を受け、料理のレベルを格段に上げる一方、将来の1000店構想を実現すべく大規模なセントラルキッチン(CK)建設に乗り出した横川竟(よこかわきわむ)氏。その一方で目新しい食材、良い食材を買い付けるため、国内だけでなく海外にまで自ら足を運び、商社などを介さずに輸入することでコストダウンを図る努力をするなど、リーダーシップを発揮した。(前回の記事は「街場の食堂からホテルの味へ挑戦 すかいらーく創業者」)

――68店舗まで拡大した時点で、埼玉県の東松山に大規模なCKを建設したわけですが、業界では大騒ぎになったようですね。

1976年のすかいらーくの売上高が42億円の時に、工場建設には17億円を投じましたからね。東京工業大学卒で、食品工場の建設を多く手掛けてきた金子順一さんを味の素のグループ会社からスカウト、「マルシンハンバーグ」にいた衛生管理、菌の検査のプロ、西田博さんにも来てもらいました。

このほか、東洋紡から工場の労務管理の専門家と工具開発の専門家をお呼びし、番場善勝シェフと僕の計6人のチームで計画を詰めていったのです。その後、兵庫県西宮市の鳴尾浜にも大規模なCKを建設したのですが、その時もこの6人のチームが中心で、誰にも口を挟ませなかったんです。

東松山が東日本、鳴尾浜が西日本の中核工場として稼働したことで、全国1000店構想の裏付けができ上がりました。

――外食企業のCKというよりは、まさに食品メーカーの工場ですね。

そうです。実は自社でCKを作る前に、一流食品メーカーの工場をいくつも見学させてもらったのですが、どうもピンと来ない。「これでは注文は出せないな」と思ったので、自分で食品メーカーのものを上回るようなものができる工場を作ったのです。メーカーの商品ではおいしくならない。といってホテルのやり方では安くできない。だから自分でやると。メーカーの技術とホテルの考え方を一緒にしたのが東松山のCKだったと理解していただければいいのです。

――その後「藍屋」で和食、「バーミヤン」で中華料理と、業態を広げて行かれるわけですが、これもCKで対応できたのですか。和食や中華というと、どうしても店舗レベルの調理のウエートが高くなるような気がするのですが。

一番難しかったのは「藍屋」でした。客単価1500円程度で、焼き物から酢の物、茶わん蒸し、汁物、漬物、デザートなど、6品も7品も出す。「法事型」と言っていたのですが、1品の質が良ければ、そんなに品数を出さなくていいのですよ。値打ちがないから数で売る。

すかいらーくもセットメニューという売り方をしてきましたが、それがお客様のためなのか、客単価を上げる手段なのか、もう一度見直したほうがいい。栄養を考えると、これとこれを合わせて召し上がってください、というのならよいのですが。

――和食とか中華というと、どうしても料理人の腕と言いたがるところがあります。これをどのようにして克服してこられたのでしょうか。

「バーミヤン」でいえば、鍋の技術を残したことですね。ギョーザやラーメンの麺、スープはCKで作りますが、焼いたり、揚げたり、いためたりといった加熱工程は店舗でやる。洋食よりも中華では現場段階での調理が多く、3割くらいをやっていました。そのため、ひたすら現場の調理技術を磨いてきました。

――ファミレス業態の店というと、店舗段階の調理を極力削減し、CKから入った食材を再加熱するだけというイメージがあるのですが、当時の「バーミヤン」の厨房では、中華鍋に火が入って、炎が上がるという光景があったのですか。

ありました。火事になったこともあります。また、中華では鍋を振るので、料理人がけんしょう炎になることを防ぐため、5人前を作る鍋は置きませんでした。1人前、2人前、3人前の鍋を組み合わせることで、人数分の料理を出せるようにしたのです。現場で加工すると、熱くて香りや食感が良いのです。温めるのとは違う。いためる、焼くという作業は残さなくてはいけない。味はお客様の方がよく知っていますから、手を抜けば客数は落ちます。今の「バーミヤン」で鍋を振っているかは知りません(笑)。厨房には入れませんからね。

――「藍屋」では刺し身を引くのも店舗でやっていたのですか。料理人の育成も大変だったのでは。

そうです。例えばアジのたたきは、生きたアジを各店に配送し、注文が出たときに水槽からすくって調理する。しかも、水槽に入れて3日以内に使い切る。それ以上日が経っては、魚が身痩せしますからね。料理人は自社で育てたのですが、これが大変でした。だから「藍屋」の店舗展開は時間がかかったのです。

――食材の買い付け担当としても、相当動き回られましたね。

1973年に、デンマークにチーズの買い付けに行った時なども、商社は一切使いませんでした。自分で、ご夫婦と娘さんの3人でやっているチーズ生産者を訪ね、「こういうチーズが欲しい」というと、向こうの親父さんが「それなら熟成期間は3カ月のものが良いな」などと教えてくれる。こんな形で各地の生産者や加工所からいろいろなものを買い付けてくるのですが、店舗数が300店になると、コンテナ1本が埋まる。これをCKに運び込んで、賞味期限内にちょうど使い切る量なのです。商社などが介在しないので、コストも抑えられ、その分をお客様に安く提供することで還元できる。

――「ジョナサン」では、日本の外食企業として最初に有機野菜を採用されました。

野菜の買い付けで農家を回っていた時、農家の人が皮膚をすべて覆い、ゴーグルをつけて農薬をまいている光景を見ました。そうしないと市場が引き取ってくれないのだと。自家消費の野菜は、別のところで農薬を使わずに育てている。

そこで、うちは多少虫食いしていても引き取るから減農薬にしてくれ、トマトは完熟したものが欲しいなどと交渉しました。これが無農薬栽培になっていくのですが、畑はまだ化学肥料を使っていたので、有機栽培ではない。「ジョナサン」で1993年に「生で食べられるホウレン草サラダ」としてメニュー化するのですが、この段階ではまだ、有機っぽいものでした。

その当時、有機野菜ということが少し言われ始めていたのですが、量が少ないし値段も高くてとても使えない。そこで農家と組んで、一品ずつ有機野菜に変えて行こうと考えました。ただ、農家と契約栽培の形にしても、彼らは市場の相場が安い時は全量こちらにくれますが、相場が上がると、こちらへの納入量を減らし、市場に出してしまう。そこで、農業をきちんとビジネスとして考えている人を探せということで、ある人と出会い、本格的に有機野菜を使えるようになりました。

――「食」の今後を考えると、食の簡便化が進んできたことで、子供たちが魚は切り身で泳いでいると思っている、などといったことも言われるようになりました。今後の食育についてはどのようなお考えをお持ちですか。

健康に生きていくための教育であって、魚の形がどうか、といったことは関係ない。文部科学省や農林水産省の言っていることなんて、素人の食育ですよ。カルシウムの吸収をよくするにはどうすればいいか、髪の毛が抜けないようにするためにはどんな食べ物をどのように取ったらいいかといったプロの食育をすべきです。

――今はすかいらーくグループを離れ、「居心地の良い場」をコンセプトにした「高倉町珈琲」という形でカフェの展開を始められました。80歳とは思えません。お元気ですね。

「高倉町珈琲」は今20店ですが、まだまだできていないですね。これから小型のCKを作って、現場を楽にし、店舗数も増やしていこうと考えています。やはり100店を超えないとだめですね。この段階で本格的なCKを作り、より安全なものを提供できるようにする。スーパーもコンビニも外食も、良いものでないと売れないというようにしなくてはいけませんね。私は仕事をしているときが一番楽しい。もう年だから、家でゆっくりして居ろなんて言われたら死んでしまいますよ(笑)。 

横川竟
1937年長野県生まれ。62年ことぶき食品設立、取締役。74年すかいらーくに商号変更、常務。80年ジョナサン代表取締役社長。97年すかいらーく代表取締役会長。03年農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、すかいらーく最高顧問、日本フードサービス協会会長。05年内閣府「食育推進会議」専門委員。07年すかいらーく代表取締役会長兼社長 最高経営責任者。08年きわむ元気塾 塾長。14年高倉町珈琲 代表取締役会長就任、現在に至る

(ジャーナリスト 加藤秀雄)

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