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認知症の母と耳の遠い父 離れて暮らす娘が見た二人 映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」監督インタビュー

日経Gooday

2018/11/9

(C)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会
日経Gooday(グッデイ)

「母、87歳、認知症。父、95歳、初めての家事」。娘である「私」の視点から、遠く離れて暮らす認知症の母と耳の遠い父親の生活を描いたドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」が、東京を皮切りに全国で順次公開中だ。反響の大きかったテレビドキュメンタリーの映画化である。娘であり「私」であり本作の監督である信友直子さんに、認知症の患者を抱えた家族のあり方について話を伺った。

■「自分が元気なうちは帰ってこんでええ」

――本作を撮ろうと思ったきっかけは何でしょうか。

母が認知症と診断されたのは2014年1月8日。1月5日が母の誕生日で、その後だったのでよく覚えています。ただ、その頃は発表しようと思って映像を撮っていたわけではないんです。

娘である監督の信友直子さん

プライベートでも映像を撮りたいと思って、2000年に家庭用のビデオカメラを買ったんですね。それで2001年に帰省したときに、父と母の日常を撮り始めたのが最初です。

その頃は、母も台所でかくしゃくと家事をこなしていました。母の様子がちょっとおかしいなと感じたのは2013年くらいからです。それからも記録として撮り続けていましたが、母が認知症になったことを父は人に知られたくないだろうと思っていましたから、いつか両親が亡くなった後に何かで出せればいいかなくらいに思っていました。

2016年に、そうして私が撮り続けているのをたまたまフジテレビ/関西テレビ「Mr.サンデー」のディレクターが知って、ぜひ番組としてまとめてほしいと言われて、番組を意識して撮り始めたのはそこからです。そのとき父と母に恐る恐る話を切り出したら、案外あっさりと「いいよ」と言ってくれて。たぶん母は私に協力しようと思ってくれたのだと思いますが、あらためて良い親だなと思いました。

――ご両親が住んでいるのは広島県呉市ですが、信友さんはドキュメンタリー監督として東京で暮らしています。映画の中でお仕事を辞めて帰ってこようかと迷うシーンがありますが、そのときはお仕事を辞めない選択をされました。どのようなお気持ちでしたか。

あれは母がメマリーという認知症の薬を飲み始めたときでした。進行を遅らせる薬ですが、副作用があるので、様子を見ながら少しずつ薬の量を増やしていくんですね。父は、頭ははっきりしているのですが、耳が遠いので、父だけに任せてしまっていいものか悩みました。それで薬が安定するまで戻ってこようかとも考えたのですが、父に「自分が元気なうちは帰ってこんでええ」と言われました。

父は若い頃、夢を諦めたことがあって、だから自分たちのせいで娘がやりたいことをやめて帰ってくるのは許せないというか、娘のためというのももちろんありますが、それが父のこだわり、ポリシーでもあったようです。私もそれに甘えて仕事を続けたのですが、あのときは心残りのまま帰りました。バス停まで母が見送りに来てくれたのでその様子を撮影したのですが、あとで見たら画面がすごく揺れていて、ああ私の心が揺れていたんだろうなと思いました。

(C)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会

■早く地域包括支援センターに行けばよかった

――ご心配も多いと思いますが、遠距離介護はどのような形でされているのですか?

母が認知症と診断されてからは2~3カ月に1回の頻度で帰省しています。フリーランスで仕事の区切りがついたときに帰ることができるので、そこは利点だと思います。

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