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食後高血糖防ぐならやっぱり運動 早足歩きや階段歩行 病気リスク高まる「血糖値スパイク」(下)

日経ヘルス

2018/11/26

(イラスト:谷小夏)
日経ヘルス

食後に血糖値が急に高まる「血糖値スパイク」は、脳卒中や心筋梗塞などにかかるリスクを高める。2回目の「やせ気味の人は肉・魚から 食後高血糖を防ぐ食事術」に引き続き、3回目は運動術を紹介する。

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運動は血糖を消費するという点だけでなく、筋肉量を増やし、常に血糖を使い続ける体質をつくるという点からも血糖値の上昇を防ぐのに役立つ。

(イラスト:谷小夏、グラフ:増田真一)

自らも1型糖尿病の患者である南昌江内科クリニックの南昌江院長は、2002年から16回連続でホノルルマラソンに参加、フルマラソンを完走し続けている。今も週3回、毎朝6km走っているが、走っている間は、注入するインスリンの量が半分で済むという。筋肉を活発に動かすとインスリンの効きがよくなるためだ。健康な人なら、それだけ膵臓の負担が減ることになる。

血糖値スパイクを防ぐ目的なら、フルマラソンのような激しい運動は必要なく、ウオーキングなどの軽い運動で十分だ。日本人約8600人を対象とした研究の結果、通勤中の歩行時間が片道20分間以上だと、糖尿病になるリスクが27%減ることが明らかになった。また、すでに糖尿病になった人を対象にした研究では、食後に2回、各3分間階段の上り下りをしてもらったところ、その後の血糖値が下がったことが報告された。

東京慈恵会医科大学の西村理明教授も、「食後、15~30分してから、少し早足程度の軽い運動をすると、血糖値スパイクの予防に効果的。例えば、職場から少し離れた店にランチを食べに行き、少し速いと感じるペースで歩いて帰ってくるのがいい」とアドバイスする。

南院長は、筋肉をつけるという面からも運動は大切という。「女性では40代でも筋肉が著しく衰えた状態になっている人がいる」と注意を呼びかけている。血糖をグリコーゲンに変えて蓄えておける筋肉が衰えると、血糖値スパイクが起きやすくなる。西村教授は、「筋肉を維持したスリムな体を作るのがいい。有酸素運動と筋トレをミックスして楽しむのが理想的」という。

(グラフ:増田真一)

閉経後には、血管を守る働きがある女性ホルモンのエストロゲンが減り、悪玉コレステロールが増える傾向が強まるため、血糖値スパイクがある人は、動脈硬化が起こりやすくなる。なかでも近親者に心筋梗塞を起こした人がいる場合は、血糖値スパイクの予防が特に大切だ。機会があれば、血糖自己測定器を手に入れて、食後血糖値を測定してみよう。血糖値スパイクの可能性がある140mg/dL以上になっていたら、糖尿病専門医に相談してみるといい。

西村理明さん
東京慈恵会医科大学(東京都港区)糖尿病・代謝・内分泌内科教授。1991年、東京慈恵会医科大学卒。富士市立中央病院などを経て2002年から東京慈恵会医科大学。18年7月から現職。
南昌江さん
南昌江内科クリニック(福岡市南区)院長。1988年、福岡大学医学部卒。九州厚生年金病院、福岡赤十字病院勤務を経て、98年に糖尿病専門医院を開業。14歳の時に1型糖尿病を発症した。著書に『わたし糖尿病なの』(医歯薬出版)。

(ライター 中沢真也)

[日経ヘルス2018年11月号の記事を再構成]

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