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職場での私的なチャット 懲戒解雇の理由になることも

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日経ウーマンオンライン

近年、ビジネスの現場でもチャットアプリを利用して業務を進めるスタイルは珍しくありません。しかし、それで困っているという人もいるようです。いったいどんな問題があるのでしょうか? ある会社員のケースについて、人事労務コンサルタントで社会保険労務士の佐佐木由美子さんが解説します。

エスカレートするチャットタイムにどう対応すべき?

メーカーに勤める亜沙美(仮名)さんの会社では、昨年から会社支給のパソコンにチャットアプリを導入して業務を行うようになりました。チャットアプリでは、同時に複数人とのメッセージのやり取りも気軽にでき、案件ごとにタスクを管理できるなど、情報共有に優れています。円滑なコミュニケーションを図るためにも、今では欠かせないツールとして社内で活用されています。

しかし、亜沙美さんはこのチャットアプリが導入されたことで、困っていることがありました。それは、同じ部署の先輩女性が、仕事中に私的なチャットを繰り返していることです。

もちろん業務でも使用している様子ですが、同時に特定の社内の人間とやり取りを繰り返しているようでした。PC画面に向かってニヤニヤしたり、独り言を言ったりすることが増え、ある時にパソコン画面が見えてしまった際に、そうした行為を日常的に行っていることが分かりました。どうやら、その先輩女性は社内の男性社員に好意を寄せているようで、その男性社員とのチャットを繰り返していたようです。

最近では、先輩のチャットがエスカレートして、電話や受付対応がおろそかになるなど、業務に支障が出るように……。結局、亜沙美さんがカバーしなければならず、不満が募ります。けれども、年の離れた先輩に対して、面と向かって注意することはなかなかできません。上司もこの状況に全く気付いていないようで、注意する気配すらありません。

こうした毎日がこれから続くかと思うと、やる気も出ませんし、亜沙美さんは会社へ行くのがおっくうで仕方ないといいます。

「職務専念義務」があることを忘れずに

私たちは普段職場で、仕事の合間に天気や趣味の話、あるいはメディアで話題のニュースなど、雑談を交えながら仕事をしています。こうした雑談のやり取りは、社員間でコミュニケーションを良好にする潤滑油のようなもので、それほど問題になるとは言えません。

同じように、チャットでそうした雑談のやり取りが多少あったとしても、直ちに不適切とは言えないでしょう。問題は、その頻度や長さ、内容などです。

労働契約の締結に際しては、社員に職務専念義務が課せられています。業務中は職務に専念する必要があることから私的行為はいけないとされていますが、疲れたら気分転換にお茶を飲んだり、息抜きをしたりすることなどはよくあることで、一体どこまでの私的行為がNGで職務専念義務違反に当たるのか、なかなか分かりにくいものです。

これについて、参考になる裁判例として、過度の私的なチャットを理由になされた懲戒解雇の有効性が争点になった「ドリームエクスチェンジ事件」があります。裁判所は「チャットの時間、頻度、上司や同僚の利用状況、事前の注意指導及び処分歴の有無等に照らして、社会通念上相当な範囲と言えるものについては職務専念義務に反しない」としています。

しかし、この事件では、約7カ月間で合計5万158回の私的チャットが行われていました。チャット1回当たりに要した時間を1分として計算すれば、概算で1日当たり350回以上、時間にして2時間程度のチャットが行われていたことになります。さらに、チャット内容も就業に関する規律に反するものだったため、「チャットの相手方が社内の他の従業員であること、これまで上司から特段の注意や指導を受けていなかったことを踏まえても、社会通念上、社内で許される私語の範囲を逸脱したものと言わざるを得ない」とし、懲戒解雇を有効としました(東京地裁 平成28年12月28日判決)。

この裁判例に照らして考えると、私的チャットを繰り返しているという先輩が、どのくらいの期間にわたって、どのような頻度で私的なチャットをしているのか、まず確認する必要があるでしょう。業務においてもチャットを使用しているということなので、私的なチャットと混在しているのがさらに問題を複雑にしています。

亜沙美さん個人で抱え込む部類の問題ではありませんので、まずは上司に相談し、会社が適切な対応をしてくれることを見守るのが望ましいと言えるでしょう。

業務時間中の私的チャットは控えましょう

ちなみに、就業時間中に1日2通程度の私用メールを送受信していた「グレイワールドワイド事件」では、会社で明確に私用メールを禁止していなかった上、頻度も社会通念上相当な範囲内にとどまり、職務専念義務には違反していないものとして、普通解雇を無効にしています(東京地裁 平成15年9月22日判決)。

1日数回程度の私的なやり取りの場合、職務専念義務違反とまでは捉えられないとも言えますが、だからといって、会社から貸与されたパソコンで就業中に私的メールやチャットを日常的に行うことは、会社のワークルールにもよりますが、通常は控えるべきでしょう。

なお、職務専念義務違反は、債務不履行に当たりますが、懲戒処分を行うには就業規則等に違反し、職場秩序を乱したと認められる場合に限られます。

「ここまでは大丈夫」だと考える基準は、人それぞれです。新たなツールや制度を導入する際は、会社側からきちんとルールや運用方法などについて説明・指導を行うことが大切です。社員側もそれらを守るように意識することで、職場秩序が守られ、働きやすい環境が整えられると言えるでしょう。

佐佐木由美子
 人事労務コンサルタント・社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。

[nikkei WOMAN Online 2018年9月19日付記事を再構成]

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