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藤井一興 ショパンと安芸の宮島を結ぶピアノの詩魂

2018/11/3

ピアニストで作曲家の藤井一興(かずおき)氏がフランスのバロック音楽からモーツァルト、ショパン、さらには安芸の宮島(広島県廿日市市)をテーマにした自作までをつなぐCDアルバムを出した。日本と欧州の異なる時代の様々な作品が、いかに一つの美意識に貫かれたアンソロジーに結実するのか。「コンセプト人間」を自任する音楽家の詩魂を訪ねた。

研ぎ澄まされたピアノの音色が月夜のさざ波のようにきらめき、チェロが感動の震えを響かす。藤井氏の「宮島の鳥居に波は震える」というチェロとピアノのための新曲だ。日本三景の一つ、世界文化遺産の安芸の宮島、厳島神社。「海にたたずむ大鳥居に触発されて書いた。日本文化をもっと世界に知ってほしいとの願いを込めた」と藤井氏は言う。

バロックからショパンを経て宮島に至る曲集

日本の雅楽風の音階とリズムを織り交ぜながら、独特の静けさと現代音楽の風味を醸し出すこの新曲。収めているのは10月25日リリースのCD「ショパン:ピアノ・ソナタ第3番~イリュミナシオン 光り輝く事~」(発売元:マイスター・ミュージック)。題名通り、ショパンのソナタがアルバムの中心を占める。宮島とショパンがなぜつながるのか。

収録曲は全7作品。自作以外はすべてピアノによる独奏曲だ。始まりはショパンでさえない。まずF・クープラン(1668~1733年)の「神秘的な防壁」「キタイロンの鐘」というロココ風の鍵盤曲2つ。次にJ・P・ラモー(1683~1764年)の「鳥のさえずり」。ここまでは仏バロック期の巨匠2人の作品だ。ルイ14世からルイ15世の在位中に頂点を極めたベルサイユ宮殿の音楽文化を提示したわけだ。

次に来るのはモーツァルトの「ピアノソナタイ短調K.310」。オーストリア生まれの古典派の天才がパリ滞在中、母を亡くす不幸の中で書いた傑作だ。続いて仏近代音楽の祖フォーレの「夜想曲第6番変ニ長調作品63」。そしていよいよショパンの「ピアノソナタ第3番ロ短調作品58」。最後に自作の宮島の曲。一見、脈絡がない。NHKの2008~12年の音楽テレビ番組「クラシックミステリー 名曲探偵アマデウス」に出演した経験もある藤井氏に謎解きをしてもらおう。

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