2018/11/5

記事

日本は世界トップクラスの高齢化が進む国として悲観論をよく聞かされます。しかし、この高齢化比率についても「65歳」を区切りとしているので「日本は高齢化の一途をたどる」というロジックに私たちはうなずいているだけです。

内閣府の2018年版「高齢社会白書」によれば、日本は現在27.7%の高齢化率です。これは65歳を区切りとしており、60年に高齢化率は39.9%に到達するそうです。つまり、高齢者1人を現役世代1.4人が支える社会になるわけです。

しかし、これは40年以上も先のことです。もし、高齢者の区切りを75歳にすれば、高齢化率は25.7%まで下がります。面白いことに今よりも低い高齢化率になるのです。

60年には日本人が75歳まで働けるといっても、それを絵空事だと笑う人はいないでしょう。高齢者の区切りを75歳にするだけで、日本の年金不安はほとんどなくなるように思います(そして、労働力不足の心配も大きく改善されるでしょう)。

平均寿命以上に健康寿命も延びている

65歳以上の雇用促進について、国が政策的な検討を始めていますが、議論をリードする未来投資会議(議長は安倍晋三首相)の資料においても60歳代後半の日本人の体力が就労に足ることを示しています。

健康寿命、つまり、日常生活に支障のない期間も確実に延びつつあります。平均寿命の延びも健康寿命の延びが上回っていることは高齢社会白書でも触れられています。健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳だそうです(16年)。01年には男性69.40歳、女性72.65歳だったことを思えば、15年間で2年元気な期間が増えたことになります。

個人のマネープランでも、長く働くことは資産の取り崩し開始を遅らせ、かつ取り崩し期間を短くすることになります。資産形成の期間を長期化させる効果もあり、二重にも三重にも有意義です。

長寿高齢化を悪いことと考えるのではなく、マネーハックの逆転の発想でポジティブに視点を転換してみてはどうでしょう。

公的年金制度や老後への備えも、日本人の長寿化という問題ときちんと向き合えば、解決の道筋が見えてくるはずです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「共働き夫婦 お金の教科書」(プレジデント社)など。http://financialwisdom.jp