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ベルリン音楽祭の挑戦 現代音楽の精髄に迫る

2018/11/6

秋に始まるコンサート・シーズンの開幕を告げるベルリン音楽祭。連邦政府の助成を受けたベルリン芸術祭公社が、ベルリン・フィルハーモニー財団との共催で企画する。首都の感性を磨き、未知の芸術表現を切り開く、世界最先端の音楽祭。8月31日から9月18日までの19日間、フィルハーモニーの2つのホールをメイン会場に、27公演が行われた。

マーラー交響曲3番を指揮するネルソンスとメゾソプラノのスーザン・グラハム(Kai Bienert撮影)

今回のテーマは「リチュアル、セレモニー、アクション、シンフォニー」。どのように関連するのだろうか。ブルックナーの交響曲3番、4番、9番、(音楽祭の直後にはハーディング指揮、ベルリン・フィルによる5番も)と、マーラーの交響曲3番がラインアップの中心。現代音楽にウエートを置くベルリン音楽祭の枠組みで、後期ロマン派のモニュメンタルな交響曲群が集中的に取り上げられるのは珍しいが、これらの交響曲のルーツに宗教儀式的要素があったことは確か。リチュアルやセレモニー、神秘劇のアクションなどが交響曲へと昇華するプロセスを感得できたが、それだけではない。

■超難曲や高度な儀礼音楽も

バレンボイムはベルリン州立歌劇場管弦楽団によるオープニング・コンサートに、ブーレーズの「ブルーノ・マデルナを追悼するリチュアル」を選んだ。8グループからなるオーケストラを会場に分散させて操る超難曲。後半のストラヴィンスキー「春の祭典」も変拍子を駆使した高度な儀礼音楽だ。

他方、クロージング・コンサートでは、エトヴェシュがルーツェルン・フェスティヴァル・アカデミーオーケストラを率い、シュトックハウゼンの「INORI(祈り)-2人のダンサーと大オーケストラのための儀礼」に挑戦。これらによって音楽祭のテーマの大枠が形成され、現代音楽の精髄としての「儀礼的なもの」が浮かび上がった。ちなみにブーレーズ作品を扱ったコンサートは4回、シュトックハウゼンも4夜におよんだ。

B.A.ツィンマーマンの遺作を指揮するゲルギエフ(Kai Bienert撮影)

コンセプチュアルなテーマを音楽祭の縦糸として、そこに絡まる横糸は2本。ドビュッシー(1862~1918)没後100年と、ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918~70)生誕100年である。バーンスタイン生誕100年に世界が沸き立つなか、ベルリン音楽祭は独立不覊(ふき)を貫いた。上演機会に恵まれないツィンマーマンのオーケストラ作品が4夜にわたって紹介されたことに感謝したい。

なかでも9月7日のプログラムは衝撃的だった。自害の5日前に脱稿したツィンマーマンの遺作「私は振り返り、白日の下で行われた一切の虐げを見た」は、「2人の語り手とバス独唱とオーケストラのための伝道的アクション」と名付けられている。旧約「伝道の書」第4章とドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」から大審問官のシーンがテキストだ。ゲルギエフ指揮のミュンヘン・フィルをバックに、語り手たちとバスの壮絶なまでの存在感。絶望の淵をさまよう作曲家の悲痛な叫びに臓腑(ぞうふ)をえぐられた。バッハのコラール「われ満ち足れり」で唐突に終わるが、神の光は見えたのだろうか?

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