ドコモCMがキャスト一新 星野源の「星プロ」好発進
2018年9月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する9月度の銘柄別CM好感度ランキングで、NTTドコモが4位にランクイン。様々なキャラクターが集まる世界「キャラまち」を舞台に、3つの無名キャラクターが、星野源ふんする「星キャラプロダクション(通称:星プロ)」のプロデューサーと出会い、人気者をめざす新シリーズだ。若い女性を中心に票を集めて、順調な滑り出しを見せた。
ドコモは、綾野剛、堤真一、高畑充希らが出演していた「得ダネを追え!」シリーズを8月で終了させ、新たに9月7日から「星プロ」シリーズをスタートさせた。第1弾の「はじまりの物語」編では、キティちゃん、おそ松さん、鉄人28号といった有名キャラクターも無名キャラクターもいるキャラまちで、星プロのプロデューサー、星あゆむ(星野源)が、いまいち人気のないキャラクターで、それぞれ「ド」「コ」「モ」で始まる名前のドニマル(新田真剣佑)、コスモフ(長谷川博己)、モンジュウロウ(浜辺美波)と出会う…。
シリーズ刷新の狙いを、ドコモはこう説明する。「ドコモはdポイントクラブのリニューアルを契機に、dポイントクラブの『会員』を基盤としたお客さまへの価値提供強化に取り組んでおり、これらにより、日本に住む皆様のライフスタイルと密接に寄り添い、全力で支えながら、長くお付き合いいただける企業として進化し続けたいと考えています。今回、様々なかたち、様々な場面で、"毎日も一生も寄り添い支えてくれるパートナー"とドコモを感じていただけたら、という願いをこめ、CMシリーズのリニューアルに取り組みました」(プロモーション部第二コミュニケーション担当の横山純洋氏、以下同)
携帯電話契約者数が頭打ちになるなか、ドコモはdポイントユーザー向けの各種サービスを拡大することで成長をめざしている。それを新しいCMシリーズで表現しようとする意図があるようだ。
いつか人気者になりたい3つのキャラクターと、その夢を後押しするプロデューサーという設定は、利用者とドコモの関係も表している。「キャラクターたちをあらゆる場面でサポートし、一緒に夢を追いかけていくストーリーを通じて、お客様一人ひとりの人生に今まで以上に深く寄り添い、あらゆるサービスでサポートしていきたいというドコモの思いを表現できればと考えています」
CMのターゲットについては、「ドコモは幅広い世代のお客様にご利用いただいておりますので、本シリーズも幅広い世代の方々に楽しんでいただきたいと考えています。特にリテラシーの高い層(若者など)をフックに、本シリーズが拡散していくような仕掛け作りをしていきたいと考えております」という。
新キャストは「幅広い世代に支持されている(その中でも特に若者から支持されている)、今後さらなる活躍が期待されている方たちを選びました」。キャストの年齢を見ると、浜辺は10代、新田は20代、星野は30代、長谷川は40代と、10~40代をバランスよく配しており、若者層に人気が高いフレッシュな顔ぶれの起用が目を引く。
実際、CM好感度調査の支持層を見ると、10~20代の若い女性の票が最も多く、次に男性20代が支持している。好感要因は「出演者・キャラクター」をトップに「ストーリー展開」「映像・画像」「かわいらしい」と続く。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、新シリーズをこう分析。「キャストもみずみずしく、がらりと変わった感じがあります。会員基盤の強化という狙いとあわせて、有名から無名まで、いろいろなキャラクターが集まった街という設定は、多種多様な企業との協業で成長していく事業戦略のメッセージも込められているように感じられますね」
■「映画の始まりみたい」
関根代表は、クリエイターにも注目。「クリエイティブディレクターの佐藤雄介さんは、日清食品 カップヌードル『HUNGRY DAYS』で数々の広告賞を受賞し、デジタルとCMを融合した表現で注目されている方。今回もリアル(実写)、マペット、アニメーションを融合した映像で独自の世界を表現しています」
ドコモでも、「佐藤さんが今まで取り組まれたTVCMやウェブを組み合わせた多面的なプロモーション展開やクリエイティブ上の独特な世界観により、ドコモの思いを伝えられればと考えています」(横山氏)と、新たな感性に期待をかける。
舞台の設定が様々なキャラクターが集まる世界であったり、そこに登場するキャラクターが実物、マペット、アニメと様々な姿を持つなど、今までにない世界観のCMとあって、CM好感度調査モニターのコメントにも「ワクワクした」「映画の始まりみたい」「次にどうなるのか楽しみです」といった期待の高まりを感じさせる言葉が並ぶ。
CMとして視聴者を楽しませながら、企業の思いもしっかり伝えるという、エンタテインメント性とメッセージ性の両立が今後、どう表現されるのか。次の展開が楽しみだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2625銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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