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写真は、第1週試写会時の会見にて。タイトルバックは久々にドラマ班が担当し、CGなどを使用しない、安藤が豊かな自然の中を歩く姿を撮ったシンプルなもの。すべてアドリブだという安藤の表情に注目。

相手役の長谷川をはじめ、福子の家族のキャストは母の鈴すずに松坂慶子、長姉の咲に内田有紀、次姉の克子に松下奈緒と、演技力に定評のあるメンバーがそろい、抜群の安定感が漂う。ほか、萬平の夢に関わる面々に、片岡愛之助や桐谷健太、福子の親友に松井玲奈、福子の仕事の先輩として橋本マナミが配役されるなど、バラエティ豊かな人選が光っている。

脚本は、NHKでは大河ドラマ『龍馬伝』(10年)を手掛けた福田靖が担当。真鍋氏は脚本について、「キャスト同様に濃い」と笑う。福田は『龍馬伝』や『海猿』シリーズに代表される、男くさく熱い人間ドラマでファンの心をつかんできた。一方で、『HERO』シリーズや『ガリレオ』シリーズのような、ウイットに富んだ会話劇が魅力の軽快な作品でもヒット作を生み出してきている。朝ドラらしい爽やかな人情物語をベースに、親子の温かなやりとりでホロっとさせ、そこに今後の波乱を予感させる出来事を散りばめ、どこにもほころびがない展開。ストーリーテラーとしての手腕をいかんなく発揮している。

笑い誘う場面も実話から!?

序盤、福子の姉の咲に、歯科医の牧(浜野謙太)が求婚する場面がある。その際、牧はなぜか白馬に乗って登場する。笑いを誘う楽しいシーンなのだが、実はこのエピソードは実話だという。真鍋氏によると、「安藤夫妻周辺のエピソードは、実にユニークなものばかり。本当にネタの多い方たち」なのだそうだ。真鍋氏はさらに「調べれば調べるほど、安藤夫妻は波乱万丈の人生を歩んでいる。また、昭和という時代も現代と全く違う。戦争も含め、まさに激動の時代だった。この作品では時代の激しさを、福子と萬平の人生を通して描いていきたい」と語る。キャストの面々だけでなく、ドラマ自体の密度も濃いということで、「正直、胃もたれを起こす方もいるかも(笑)。ぜひ毎朝1話ずつ見てほしい」とジョークを交えつつ、濃厚な作風をアピールしていた。

見応えという要素は、忙しい時間帯に習慣的に見るという性質から、朝ドラとしては挑戦になるかもしれない。しかし、心を動かされる作品を視聴者は待っている。『まんぷく』は、どのように楽しませてくれるか。福子たちの波乱万丈な人生を“目撃”しよう。

(ライター 田中あおい)

[日経エンタテインメント! 2018年11月号の記事を再構成]

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