学び上手の決め手は「後輩力」 失敗や変化を恐れるなリクルートワークス研究所主任研究員 辰巳哲子氏(5)

社会人の活躍を語るうえで「学習習慣」は欠かせません。いきなり習慣にするのは難しいとしても、学び下手を克服し、学び上手になることはできるでしょう。そのために留意したいポイントを紹介します。

「達人」は自分と違う人から学ぶ

2017年に米グーグルの役員、サンフランシスコの有名中学校の校長、日米の大学教員、国内の起業家、スポーツ選手やパラレルキャリアで働く人など、様々な「学びの達人」にインタビューする機会がありました。その結果、職種や働き方を問わず、第一線で活躍し続けている人の学びのスタンスには次のような共通点があることがわかりました。

・自分の考え方に固執しすぎない ・完璧主義でない
・知らないことを「知ること」を楽しむ ・失敗から教訓を得ようとする
・年齢にかかわらず、他者から素直に教わる力=「後輩力」が高い
・関心のあるテーマについて話せる「仲間」がいる
・会社員の場合、転職や職種を変わった経験がある

ある国立大学の名誉教授は、60歳近く年の離れた若者と会うたび「最近読んで面白いと思った本」を尋ね、内容をメモしています。そのうちの何冊かはきちんと読み、感想を伝えるのだそうです。また、私の講演を聞いたある大手日用品メーカーの会長から「うちの組織が抱える課題について、一度相談に乗ってもらえないだろうか」と声をかけられたこともありました。部外者の私に、組織の問題点を赤裸々に明かされたのが印象的でした。

このように学び続ける人は、自分より若い人からも積極的に学ぼうとする「後輩力」が強く、違う分野にいる「異質」との出会いと、そこで得られるアイデアやインスピレーションを大事にしています。

学ぶ環境、自分の意志で整える

会社員の場合、同じ部署に長くいて一定の成果を上げ続けていると、「古株」として周囲からも頼られるようになります。新たな学びの必要を感じる機会は、少なくなりがちです。それでも会社の外に出て、同じ年代の人の活動の様子や同じ業界の人の仕事のやり方などを見る機会があれば、どうでしょう。自分自身の得意分野に改めて気づいたり、不足しているスキルがわかるのではないでしょうか。そうした経験が学びのきっかけになるかもしれません。

40歳手前のキャリア研修で、普段はあまり接点のない部署の同期と会い、急に「何が自分の強みなんだろう? 40代以降、何を強みとして生きていこうか」と不安になったんです。ゼネラリストじゃだめだと思って考えたとき、もともとは教育に関係する仕事がやりたかったと思い出し、大学に通うことにしました。その後の人事異動では、初めて自分の希望を会社に伝え、実現しました。(41歳、食品メーカー人事部)
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