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コートは男の紋章 粋なコート姿とその着こなし イラストレーター 綿谷 寛 × 服飾史家 中野香織 スペシャル対談

MEN’S EX

2018/11/5

綿谷 寛画伯と中野香織先生による男のコートをめぐるスペシャル対談をお届け。その歴史から粋な着こなし方まで、メンズファッションに造詣の深いお二人がディープに語り合ってくれました。




綿谷 寛さん イラストレーター(左)’50年代アメリカンイラストレーションを髣髴(ほうふつ)とさせる写実画で知られ、中野先生とは共にイベントを行うことも。
中野香織さん 服飾史家(右)株式会社Kaori Nakano代表取締役。服飾史家として研究・講演のほか企業の顧問教授を務める。新聞・雑誌・WEBなど多媒体で執筆。

【 第1章 】由来から探るコートを着る意味

綿谷 寛さん(以下画伯) 今日は中野先生から直にコートの講義を受けるつもりで来ました。部屋の夜景も綺麗ですし、まずは泡で乾杯といきますか?

中野香織さん(以下先生) 対談ですから、ちゃんと画伯も話してくださいよ。でもまぁ……乾杯は賛成です(笑)。

画伯 そもそも服飾史でコートはいつ頃から登場するんですか? 人類が毛皮を纏っていた時代まで遡るとキリがないので、紳士の服飾史限定で(笑)。

先生 コートは英語の“覆うもの”(Coat)から来ており、服飾史で最初に現れるのは5~6世紀頃の「Coat of Mail」。これは日本でいうと鎖帷子(くさりかたびら)です。

画伯 防寒具ではなく、身体を覆って守るものがコートの始まりなわけか。

先生 さらに歴史が下って中世になると「Coat of Arms」と呼ばれるものが生まれます。直訳すれば“武具の覆い”で、当時の貴族が馬や武具にかぶせた色柄付きの覆いのこと。それによりどこの家の所属かを示したんです。紋章の起源になりますね。

画伯 当時は馬も武具だからね。で、紳士の外套としてのコートが出てくるのはいつ頃なんでしょう?

先生 18世紀です。といってもこの頃はテーラードの技術が未熟で、袖なしの外套、いわゆるケープが今に続くメンズコートの原型です。上流階級の間で流行し、ケープをちゃんと纏えてこそ一人前の紳士と見なされました。この頃から外套に意味や象徴性が加わってきます。このケープを足元まで届く着丈としたものがクローク。英国では今もオペラ観劇時にオペラクロークを羽織るお洒落な方がいらっしゃいますし、海軍も式典の際にロイヤル ネイビー ボート クロークを着用しますね。

画伯 形としてはマントも似ていますよね? 両者の違いはあるんですか?

先生 マントはクロークのフランス語で、まったく同じものを指しています。

画伯 今日は勉強になるなぁ(笑)。

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