ZOZOも入りたいプロ野球 ガバナンスが生む磁力ドーム社長 安田秀一氏

先日、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の前沢友作社長がプロ野球参入の希望をツイッターで表明しましたが、球団の買収には当時の5倍や6倍の金額がかかると予想されます。そもそも買収に応じる球団はないだろうともいわれています。需要があるけど参入が難しいわけですから、価値が高まるのは当然という経済原則が働きます。

広島の球団経営は地元の熱烈なファンに支えられて成功を収めている(10月28日の日本シリーズ第2戦、広島市)=共同

かつては球団売却に伴ってライオンズは福岡から所沢に、ホークスは大阪から福岡にフランチャイズを移動しました。今でも親会社の事情によってチームの売却、移転はありえるでしょうが、移動元となる地域からとんでもない反対運動が起きるのは確実です。従い、自治体も球団経営に協力的になるわけです。04年以降、ソフトバンクや楽天、DeNAという新たな企業の参入もあって、日本のプロ野球はその価値を飛躍的に向上させています。

日本でMLBのような球団経営をしているチームに広島カープがあります。カープといえば親会社は自動車メーカーのマツダと考える人が多いでしょうが、カープの大株主はマツダ創業家の松田一族であり、マツダではありません。マツダは球団経営にはほとんど関与しません。現オーナーの松田元氏もマツダから離れ、カープの価値向上に専念しています。そして、現在のカープは地元の熱烈なファンに支えられて圧倒的な成功を収めています。

前沢社長の参入希望に対して、球界関係者の大半は実現は難しいとみているようです。親会社の経営状況や金額次第で球団の売却はあるかもしれませんが、エクスパンションには現状ではオーナーたちの反対も強いでしょう。

ただ、最終的にどうするのか。プロ野球の発展につながるか、各チームの利益になるかという経済合理性が方向性を決めるはずです。こうしたまっとうな力学を働かせる前提になるのが、メンバーシップによる適正なルール作りであり、それこそがガバナンスなのです。

安田秀一
1969年東京都生まれ。92年法政大文学部卒、三菱商事に入社。96年同社を退社し、ドーム創業。98年に米アンダーアーマーと日本の総代理店契約を結んだ。現在は同社代表取締役。アメリカンフットボールは法政二高時代から始め、キャプテンとして同校を全国ベスト8に導く。大学ではアメフト部主将として常勝の日大に勝利し、大学全日本選抜チームの主将に就く。2016年から18年春まで法政大アメフト部の監督(後に総監督)として同部の改革を指揮した。18年春までスポーツ庁の「日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会」の委員を務めたほか、筑波大の客員教授として同大の運動部改革にも携わっている。

(「SPORTSデモクラシー」は毎月掲載します)

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