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イライラ育児、日本を出たら消えた 海外在住母の報告

なぜ息苦しい? 日本の「仕事と子育て」両立(3)

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NIKKEI STYLE

仕事と子育ての両立の中で、子どもが言うことを聞かなかったり、さっさと動いてくれない時、イライラしてつい怒鳴ったりたたいたりしてしまうという人がいるかもしれない。イライラは子どもとの関係だけでなく、仕事にも影響を及ぼすこともある。今回は海外に転居した日本人母が感じた子育て環境の違いを通して、「怒鳴る・たたく」育児の背景にあるものを考える。

スイスに暮らし始めて「怒鳴る・たたく」が消えた

ラジオパーソナリティーの杉野朋子さんは、かつて東京に在住していた二児のママ。筆者は、2018年1月に、かつしかFM「早く教えてっ!ママレーザー」という生放送に出演させていただいた。テーマは「ママのイライラ対策!」。感情的にならずに子育てするにはというポイントをお伝えした。それまで杉野さんは、イライラして怒鳴ったり、お子さんをたたいたこともあると言っていた。

その約半年後、パートナーのお仕事の関係でスイスのジュネーブへ。暮らし始めて1カ月がたった頃、杉野さんから「そういえば、私はスイスに来てから子どもを怒鳴ったり、たたいたりしていない」というメッセージが届いた。

怒鳴ってたたいたのは、スイスへ移動中の機内での「静かにしなさい!」が最後だったという。そこで杉野さんに心境の変化について取材してみた。

どうして、怒鳴ったり、たたいたりしなくなったのか。考えてみると以下の3つの理由が挙げられるとのこと。

(1)周りのママやパパが子どもに怒鳴ったり、たたいたりしていない

(2)学校の先生も子どもに対して感情的に怒鳴ったりせず、論理的に説明している

(3)子ども優先の社会で、子連れだと親切にされる

杉野さんは以前から、海外での子育てにとても興味があった。また、米国での駐在経験のあるママ友から(海外では)「怒鳴ったり、たたいたりしたら、親が通報されることもあるから気を付けて」と言われていたこともあり、周りの様子をよく観察していたという。

以下、順番に説明してもらった。

(1)周りのママやパパが子どもに怒鳴ったり、たたいたりしていない

公園に遊びに行った初日に「もう! 帰るよ!」と、何度言っても聞く耳を持たないわが子に遠くから叫ぼうとした時、「あ! 大声はダメだったんだ」と思って、周りを観察したという。現地の人は遊んでいる子どものそばへ行き、顔を見て「帰るよー」と伝えていて、大声を出すことは恥ずかしいという雰囲気だったとのこと。

(2)学校の先生も子どもに対して感情的に怒鳴ったりせず、論理的に説明している

親や大人が、圧力や暴力で子どもに意見を押し付けようという風土がないということ。「自由、平等、友愛(博愛)」のフランス文化の影響をスイスのジュネーブは受けていると感じたという。

そもそも親子でも、大人は子どもの意見を尊重し、「あなたはどう?」と子どもに問いかけている様子もよく見られる。子どもの靴や服を買う場面でも、子どもに「どうする? それね! OK」という感じ。

(3)子ども優先の社会で、子連れだと親切にされる

公共の場で赤ちゃんや子どもが泣いたりすれば、日本と同じように親は必死にあやす。でも、その様子を見て「うるさいな!」と言ったり舌打ちしたりする人は見たことがないという。

子連れで路面電車(バスのような感覚で使える)に乗っていると、大人はもちろん、中学生ぐらいの少年少女も当たり前のように席を譲ってくれる。ドアを開けてくれて「お先にどうぞ」はどこでもされ、本当に驚くばかりだそう。杉野さん親子のように外国人でも、子どもに「Bonjour!」と話し掛けてくれたり、頭をなでてくれるなどかわいがられるそうだ。

スイスの日常も忙しいけれど、イライラしない

学校への子どもの送り迎えは親かシッターが行う。昼食時には迎えに行って自宅でランチを一緒に食べるスタイル(学校に入っている民間のシッターに依頼し、学校に残って昼食を食べる子もいる)。

日本なら、学校への送り迎えだけでも大変だ。さらに、昼に一度迎えに行って昼食を共にし、また学校に送りに行くというのは大きな負担。それでまた、イライラが増えないのだろうか。

時間的には忙しくてもイライラしなくなった理由を2つ挙げてくれた。

(1)「学校や習い事の課題が驚くほど少ないので、負担にならない。宿題はプリント1~2枚を1週間後に提出するだけ」とのこと。ただ、宿題忘れには非常に厳しいという。「『宿題の期限を守れなかった場合はペナルティーがあります』というプリントに親がサインをして提出します。これは同意したという契約になるので、日本の宿題忘れよりは厳しいですね」

(2)周りと比べない

現地の学校は外国人が4割。駐在で来ている人や、スイス人と結婚した外国人も多く、人種も文化もさまざま。スイス以外で生まれた子も多く、学習の進度も違うので、そもそも比べられることがないそうだ。そのため、わが子のそのままを見るようになり、「うちの子、遅れてる!」というプレッシャーがなくなったという。

◇  ◇  ◇

国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは「子どもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して」という調査報告書を17年に発表した。その中で、日本国内2万人のしつけにおける体罰等に関する意識・実態調査結果を見ると、しつけのために何らかの場面で子どもに対し「たたくこと」をすべきであると回答した割合は6割となっている。

筆者は認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの理事をしている。子ども虐待の理由で最も多い2つが「泣きやまないから」と「しつけのため」。そのために怒鳴ったりたたいたりし、それがエスカレートすれば、子どもの心や体を傷つけてしまう可能性がある。「頻繁ではないから時には怒鳴ったりたたいたりすることも必要」と思っている方が少なくないが、怒鳴る・たたくことは恐怖や不安によって子どもの行動をコントロールすること。コミュニケーションによって子どもの気持ちに向き合い、自立をサポートしていくことが大切だ。

厚生労働省は17年から「愛の鞭ゼロ作戦」というキャンペーンをスタートした。リーフレットを作成し、たたかない・怒鳴らない、体罰によらない子育てを呼び掛けている。筆者も研究班の一員として、このキャンペーンのお手伝いをしている。18年10月には「愛の鞭ゼロ作戦」特設ページがオープンしている。

親自身が「怒鳴らない・たたかないで子育てする」という意識ももちろんだが、杉野さんのスイスからの報告にもあるように、周囲からの温かいまなざしといった子育ての環境も重要だ。

11月は児童虐待防止推進月間。子どもがすくすく育ち、親もイライラせず子育てするために必要なことは何か、考えてみてはどうだろうか。

高祖常子
 子育てアドバイザー、育児情報誌miku編集長。資格は保育士、幼稚園教諭2種ほか。リクルートで学校・企業情報誌の編集に携わり、妊娠・出産を機にフリーに。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか。著書は「感情的にならない子育て」(かんき出版)ほか。3児の母。

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