おもしろい人アピールなの? 自分主語のfunには注意
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(42)fun
言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、「楽しみ」「面白さ」を意味するfunの使い方について見ていきましょう。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
大きなプロジェクトを終えて、達成感に満ちあふれているナンシーとヒロシ。いい気分でナンシーも「今夜はぐっすり眠れそう」とのひと言に対して、ヒロシも今日はいい仕事ができて「楽しかった」という気持ちを伝えたかったのですが……。ナンシーももちろんノリノリで同意をしてくれると思いきや、やや戸惑っている様子。どうやらヒロシは日本人がやってしまいがちなfunの間違った使い方をしてしまったようです。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: I know. I was fun today.
Nancy: Well...um… I know, but...
Hiroshi: I guess you were fun.
ヒロシは期せずしてこう言ったことになります。
ヒロシ:そうだね、今日は僕面白かったでしょう。
ナンシー:ええ……。そうだけど……
ヒロシ:君も楽しかったよ。
funは「物事が楽しい」という意味の形容詞です。何かが人を面白がらせた、という意味ですので、主語は、「楽しませたそのもの」でなくてはなりません。Playing golf is fun.(ゴルフは楽しい)やThe concert must be fun.(コンサートはきっと楽しいものになるでしょう)のように使うのが正解です。ですから、今回のヒロシのように、I was fun.といってしまうと「私は周りの人を楽しませた」「自分は面白い人だった」という意味に伝わってしまうのです。
では、Iを主語にして楽しかったことを伝えるには、どう言えばいいのか見ていきましょう。