横川竟氏はセントラルキッチンを設置するもおいしさはとことん追求した

--チェーン化をする場合、各店舗の味の均質化を実現するためにCKが必要ということになりますよね。

コックに頼っているとチェーン化はできませんからね。1号店の時からCKは作りました。金がないもので、店の裏側に寸胴鍋3本が入るキッチンを作りました。そこで料理を作りながら、ソースの基本をやっていた。3号店の国分寺店では、きちんとスペースを取り、専門工場としました。さらに8号店くらいになるとそれでも狭くなったので、スーパーを閉めた半分をキッチンスペースとし、十数店まで対応できるようにしました。さらに立川工場にCKを作り、30店くらいまでいけるようにしたのですが、これでもすぐに供給が危なくなるということで東松山に本格的なCKを建設しました。この頃は毎年キッチンを作っていましたね。東松山の工場ができたときには68店になっていました。

--しかし、自前でコックを養成してきたということは、CKで完成品にまで仕上げ、店舗段階では再加熱するだけということではないのですか。

CKで完成品にしてしまうと、どうしても味が落ちる。店舗でひと手間加えることが大事なのです。味が落ちずに、衛生的で、栄養バランスが良いものを作り、現場の作業が楽になるものを作る。それを私はCKと呼んでいます。もちろん、店舗段階では手を加えないほうがおいしくできるものもあります。ビーフシチューなどは、煮崩れやすいニンジンやジャガイモは店舗段階で入れ、最後に生クリームを落とすだけ。これで付加価値が上がるわけです。

--メニュー開発をするとき、試作は一品ずつ作りますが、それをCKで大量に作るとなると、また違う問題が出るのではありませんか。

時代とともに嗜好は変化し、売れるものは変わりますから、CKでそれに対応するとなると、機械、調理器具を変えていかなければなりません。今の設備でできるものを売るのではいけないのですね。東松山の調理機器はすべて特注品で、しかもねじで留めています。一晩で入れ替えることができるようにしてあるのです。水と電気、ガスは天井から持って来るようにしてある。下に置いてある厨房機器の変化に柔軟に対応できるわけです。厨房機器は食べ物、食べ方の変化に応じ、変わっていくものなのです。変わらないのは安全と衛生、栄養の部分ですね。ここは100年経っても変わらないでしょう。

--次回は、すかいらーくが日本一のレストランチェーンへと飛躍を遂げたこと、次世代のフードビジネスのあり方などについてお聞きします。

横川竟
1937年長野県生まれ。62年ことぶき食品設立、取締役。74年すかいらーくに商号変更、常務。80年ジョナサン代表取締役社長。97年すかいらーく代表取締役会長。03年農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、すかいらーく最高顧問、日本フードサービス協会会長。05年内閣府「食育推進会議」専門委員。07年すかいらーく代表取締役会長兼社長 最高経営責任者。08年きわむ元気塾 塾長。14年高倉町珈琲 代表取締役会長就任、現在に至る

(ジャーナリスト 加藤秀雄)

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