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街場の食堂からホテルの味へ挑戦 すかいらーく創業者

すかいらーく創業者 横川竟氏(上)

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NIKKEI STYLE

1970年7月、東京都府中市に「すかいらーく」1号店を開店以来、半世紀にわたり日本の「食」の一時代を築いてきた、すかいらーく。ハンバーグを代表的なメニューに、子供からお年寄りまでのファミリー客に、手軽な価格で明るく、楽しく、きれいな食事の場を提供したいと、ファミリーレストランの先駆者となった横川竟(よこかわきわむ)氏に、レストランビジネスや「食」に対する思いを語っていただいた。そこに見えてきたのは、1号店開業前からの多店舗展開の計画、構想力だった。

--まず、「食」の世界に入られたきっかけというのは。

中学を出て長野県から働くために上京、寄り道はあったのですが築地の食品問屋に就職したのですね。その後、食品店の店長を任されたりと色々な経緯を経て、昭和37年(1962年)4月に兄弟4人で「ことぶき食品」という会社を設立、東京・ひばりが丘に食料品店を開業しました。これが成功し、本格的スーパーとして店舗数も6店にまで拡大、「日本一のスーパーになれるのではないか」という話を兄弟でしたこともありました。

しかし、6号店である国分寺店の近くに西友が進出してきて、大手の力を見せつけられました。そこでスーパーから撤退することを決め、次にやる商売は何かと考えたときに出たのがキャバレーかレストランでした。それまで食品関係の仕事をしてきたことと、当時我々兄弟はあまり酒が飲めなかったので、アルコールではない方向へということで、レストランを選んだのです。

--それで昭和44年に、米国へ視察旅行に行かれたのですね。

当時からチェーンストア研究団体のペガサスクラブに加盟していて、米国で起きていることが10年後に日本に入ってくると学んでいたのです。それで兄弟4人が自腹を切って別々に、米国のレストラン事情の視察に行った。帰国後に4人で議論し、ファストフードにするかテーブルサービスのレストランにするかで意見は分かれたのですが、ファストフードでは資金や人材が必要だし、いずれ大手企業が参入してきて、スーパーの二の舞を演ずることになりかねない。しかし、テーブルサービス型のレストランは人が価値を作るから、大手にはできないぞということで、こちらを選んだわけです。

--当時の飲食店といえば、まだまだ家業・生業の時代で、チェーン化していたのは「養老乃瀧」くらい。それなのに初めからチェーン化を目指された。

当時は「養老乃瀧」が千二百数十店というテレビコマーシャルを流していましたね。そのほかでは新宿に「三平食堂」が4~5店、「鮒忠」が20~30店展開していましたか……。それに対し、うちでは1号店を作る前から「三多摩30店計画」というのがありました。ペガサスクラブで勉強したドミナント戦略です。狭い地域に店を集中させることで、配送効率も知名度も上がり、優位に立てる。本部が国分寺でしたから、ここから放射線状に店舗展開していく。70年は甲州街道作戦、71年は青梅街道作戦、72年は五日市街道作戦という立地戦略を決めた。

しかし、五日市街道は道路の流れが当時あまり良くなくて失敗しました。そこで十数店の時代に、次は埼玉、神奈川、千葉と各30店を作る首都圏100店構想を、さらに埼玉県東松山に大きなセントラルキッチン(CK)を作る前に、関東300店構想というものを作りました。初めに思想ありき、計画ありきでやってきたのですね。

おいしい店に行けば値段が高い、安い店はまずくて汚い、ろくに挨拶もしないようなところばかり。我々はきれいで、きちんと挨拶もし、3000円、5000円といった高いものは売らない店にすることを目指しました。きれいで良いサービスで、速いということですね。おいしいということはあまり頭になかった。

――それまでは、料理を提供しても、おいしいという自信はなかったのですか。

いえ一生懸命には、やっていました(笑い)。それまでいたシェフが、ハンバーグとピザは必ず提供したいということで、この2品に対してはこだわりを持っていて、これが主力商品となった。ハンバーグは牛と豚の合いびき肉を使って、お客様からも「おいしい」と言ってもらえ、1日300枚くらい出ました。

ただ、ほかにもメニューはたくさんあったのですが、どれも今一つ。そこで人を介して三井グループの会員制クラブ、三井倶楽部のシェフだった番場善勝さんを紹介され、指導をお願いに行きました。

番場さんは最初はけんもほろろで相手にもしてくれない。しかし何回も通ううちに、三井倶楽部の支配人の方が「番場さん、この若い人たちの会社は面白そうだし、一生懸命やっているから、手伝ってやりなよ」と助け舟を出してくれ、ようやく武蔵野店で試食してもらうことができました。

ところが「こんなものは食べられない」など、ひどい言われよう。何とか説得して週1回、指導に来てもらえるようになりました。そうすると、三井倶楽部のようなホテルレベルの厨房で修業を積んできたシェフと、街場のレストランで料理を作ってきたシェフとでは、やはり基礎から違うのですね。素材から作り方、調理器具まですべてダメ出しで、変えました。

後に番場さんにはすかいらーくに移籍していただき、常務にまでなられるのですが、この時の「番場改革」が料理のレベルを、街場の食堂からホテルクラスへと大きく引き上げたのですね。また、当時残っていたスーパーを閉め、従業員7人ほどを世田谷のレストランに1年間修業に出し、料理の腕を磨かせた。自前の料理人を育成したのです。このため、71年から72年にかけ、1年間は新規出店しないで我慢していました。

--チェーン化をする場合、各店舗の味の均質化を実現するためにCKが必要ということになりますよね。

コックに頼っているとチェーン化はできませんからね。1号店の時からCKは作りました。金がないもので、店の裏側に寸胴鍋3本が入るキッチンを作りました。そこで料理を作りながら、ソースの基本をやっていた。3号店の国分寺店では、きちんとスペースを取り、専門工場としました。さらに8号店くらいになるとそれでも狭くなったので、スーパーを閉めた半分をキッチンスペースとし、十数店まで対応できるようにしました。さらに立川工場にCKを作り、30店くらいまでいけるようにしたのですが、これでもすぐに供給が危なくなるということで東松山に本格的なCKを建設しました。この頃は毎年キッチンを作っていましたね。東松山の工場ができたときには68店になっていました。

--しかし、自前でコックを養成してきたということは、CKで完成品にまで仕上げ、店舗段階では再加熱するだけということではないのですか。

CKで完成品にしてしまうと、どうしても味が落ちる。店舗でひと手間加えることが大事なのです。味が落ちずに、衛生的で、栄養バランスが良いものを作り、現場の作業が楽になるものを作る。それを私はCKと呼んでいます。もちろん、店舗段階では手を加えないほうがおいしくできるものもあります。ビーフシチューなどは、煮崩れやすいニンジンやジャガイモは店舗段階で入れ、最後に生クリームを落とすだけ。これで付加価値が上がるわけです。

--メニュー開発をするとき、試作は一品ずつ作りますが、それをCKで大量に作るとなると、また違う問題が出るのではありませんか。

時代とともに嗜好は変化し、売れるものは変わりますから、CKでそれに対応するとなると、機械、調理器具を変えていかなければなりません。今の設備でできるものを売るのではいけないのですね。東松山の調理機器はすべて特注品で、しかもねじで留めています。一晩で入れ替えることができるようにしてあるのです。水と電気、ガスは天井から持って来るようにしてある。下に置いてある厨房機器の変化に柔軟に対応できるわけです。厨房機器は食べ物、食べ方の変化に応じ、変わっていくものなのです。変わらないのは安全と衛生、栄養の部分ですね。ここは100年経っても変わらないでしょう。

--次回は、すかいらーくが日本一のレストランチェーンへと飛躍を遂げたこと、次世代のフードビジネスのあり方などについてお聞きします。

横川竟
1937年長野県生まれ。62年ことぶき食品設立、取締役。74年すかいらーくに商号変更、常務。80年ジョナサン代表取締役社長。97年すかいらーく代表取締役会長。03年農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員、すかいらーく最高顧問、日本フードサービス協会会長。05年内閣府「食育推進会議」専門委員。07年すかいらーく代表取締役会長兼社長 最高経営責任者。08年きわむ元気塾 塾長。14年高倉町珈琲 代表取締役会長就任、現在に至る

(ジャーナリスト 加藤秀雄)

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