マネー研究所

REIT投資の勘所

軟調続く物流系REIT 需給悪化も賃貸市況は堅調

日経マネー

2018/11/7

写真はイメージ=PIXTA
日経マネー

東証REIT指数は2018年9月末時点で17年末に対して7%近い上昇となっているが、物流系銘柄の価格は低迷が続いている。18年に上場した4銘柄全ての初値が公募価格割れとなった点については、前回の「REITの新規銘柄 公募価格割れが相次ぐ理由は?」で述べたが、そのうち2銘柄がCREロジスティクスファンドと伊藤忠アドバンス・ロジスティクスという物流系REITだった。

既存の物流系銘柄の価格も軟調な推移が続いている。17年末時点で物流系は6銘柄が上場していたが、9月末時点で日本ロジスティクスファンドを除く5銘柄が17年末比で下落した。さらにそのうちの4銘柄は前年末比での騰落率でワースト4位までに全て入っている状況だ。

これら物流系銘柄の具体的な値動きは以下のようなものになっている。2月以降、市場全体が下落する局面では物流系銘柄の下落幅が拡大する半面、上昇基調に入るとその流れに付いていけず横ばいで推移する格好になっている。

注:投資口価格は2018年10月5日時点

その背景を見てみよう。2月にGLPと日本プロロジスリートが共に18年最大規模となる500億円を超える増資を公表している。これらは共に物流系だ。さらにCREロジスティクスファンドの上場があり、三井不動産ロジスティクスパークでは増資の払い込みがあった。物流系が低迷し始めた2月は、これらの銘柄の需給環境が大幅に悪化した月と言えるのだ。

さらにその後も、GLPの2期連続増資など増資や上場が続き、需給悪化に歯止めがかからなくなっている。

9月までの物流系での資本調達額は、18年に上場した2銘柄を合わせ8銘柄で2000億円を超えた。物流系以外のREITの調達額が合計4000億円弱であることと比較すると、物流系銘柄の資金調達額が突出しているのが分かる。投資家から見れば、今後も物流系REITでは増資が続くという見方が強まっているわけで、これが価格下落の大きな要因になっていると考えられる。

このような点からすると、物流系銘柄の下落基調が収まるには、増資などによって需給が悪化する懸念が後退する必要がありそうだ。ただ、16年5月頃までは低い利回りで推移していたホテル系銘柄の価格が回復せず、利回りが高い状態のまま推移していることを考慮すると、物流系銘柄の短期的な価格回復可能性は低いとみるべきだろう。

ただ、物流系銘柄の価格は下落しているが、他のカテゴリーと同様に賃貸市況は物流施設の供給増加の中でも堅調に推移している。また比較的借入金比率が低い銘柄が多いため、増資ではなく借入金による物件取得で分配金の増加が期待できるのもポイントだ。

物流系は、景気の動向に左右されにくい部類のREITだ。同様の特徴を持つ住居系の銘柄の価格が上昇し利回りが低下しているのと比較すると、投資妙味がある状態になっている。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年12月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 12月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL