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2020フォーラム

都心でサッカー見たい 動き出す渋谷スタジアム構想 長谷部健区長に聞く

2018/11/1

――建設のための資金はどうするのですか。

「民間企業と連携します。(ガンバ大阪の本拠地になっている)パナソニックスタジアム吹田(大阪市吹田市)は民間から資金を集めて建設しました。代々木公園でも、そのフレームでいけると思います。すべて税金でまかなわなくても、この場所ならばペイします。3万~4万人を収容する規模ならば、ちょうどよいでしょう」

渋谷区が8月に主催した東京五輪・パラリンピックの2年前イベントには津田塾大学など9大学が参加した(渋谷区内の国連大学)

――スポーツによる街づくりを考えたときに、施設以外のソフト面では何が必要ですか。

「東京五輪・パラリンピックでいえば、ボランティアですね。競技会場のなかだけでなく、駅の周辺や街中でも活躍してもらいたいです。(大会組織委員会や東京都が募集するボランティア以外にも)渋谷区による独自のボランティアもいます。区内には津田塾大、青山学院大、聖心女子大などの大学がありますから、これらの学生さんと一緒に大会を盛り上げたいです。すでに各大学とは『シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定』を結んでいて、連携できる仕組みになっています」

■東京パラをきっかけに「超福祉」

――渋谷区ではパラリンピックの競技も多数実施されます。何を期待していますか。

「(12年の)ロンドン・パラリンピックがベンチマーク(指標)になります。障害者アスリートは速く走れるし、元気で強い。そんな『スーパーヒューマン(超人)』に会いに行こうと呼びかけた結果、障害のある人は手を差し伸べる対象から尊敬の対象に変わりました。超人の活躍を見たら、もっと交わっていくべきだと感じると思います。東京パラリンピックも、福祉に対する意識が変わるチャンスです。逃したくないですね」

――どのように福祉行政に生かしたいですか。

「自分にも意識が変わる経験がありました。グリーンバードというNPO法人の活動の一環として、知的障害のある子供と一緒にごみ拾いをしたことがあります。あるお母さんは『15年間、息子を育ててきて、初めて(子供が)社会の役に立っている姿を見た』と涙を流していました。その言葉は心にグサりときました。これまで手を差し伸べることが主眼になっていて、『交ざる』という視点が欠けていたと感じたのです」

「渋谷区は、今までの福祉の概念を超えていこうという思いで『超福祉』を提唱しています。パラリンピックのレガシーはそういうものになってほしいです」

――東京五輪・パラリンピックには海外から多くの観戦客が訪れますが、夜に楽しむ場所が少ないという声を聞きます。「ナイトメイヤー(夜の市長)」を置く構想もあるそうですね。

「夜間に営業している店舗を把握して、利用者が健全に楽しめるようにするのがナイトメイヤーの仕事です。実際のところ区がネットワークを構築できているのは建物の所有者までで、(建物に入居している)個々の店とはつながりがありません。ほかにも深夜の交通手段を確保したり、トラブルの防止策を考えたり。ハロウィーンのマナー問題についても、ナイトメイヤーが果たせる役割は大きいと思います」

――19年1月からは新宿区と一緒に、訪日外国人向けに飲食店などで使えるバウチャー(利用券)を発行します。どんな効果を期待していますか。

「五輪・パラリンピックの観戦以外にも楽しめるところがたくさんありますから、とにかく街を回遊してもらいたいですね。エンターテインメントに触れるのもいいし、観戦した競技について語り合いながら食事や酒を楽しんでもらってもいいと思います」

長谷部健
1972年東京都生まれ。96年専修大商卒、博報堂入社。退職後、街のごみ拾い活動をするNPO法人グリーンバードを設立、原宿や表参道を起点にしてごみのポイ捨てをしない街づくりを推進。2003年渋谷区議に初当選し、3期務めた。15年から現職。全国の自治体で初めて、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行し多様性を尊重する行政を推進する。

日経からのお知らせ 日本経済新聞社は11月1日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催都市、東京がいかに利便性や先進性などを高められるのかを考える第4回日経2020フォーラム「ホストシティ・東京の未来」を開催します。菰田正信三井不動産社長と中山泰男セコム社長が東京五輪後も見据えた再開発や都市の安心・安全をテーマに基調講演。梅沢高明A.T.カーニー日本法人会長や野焼計史東京メトロ常務、長谷部健渋谷区長、元新体操日本代表の畠山愛理氏によるパネル討論も予定しています。同フォーラムの模様は日経の映像コンテンツサイト「日経チャンネル」で、ご覧いただけます。

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