2018/11/9

グルメ・トラベル

【肉・魚の冷凍法】

鮮度も栄養成分も急速冷凍でぎゅっと閉じ込める

魚は種類によって冷凍に向くもの、向かないものがある。「例えば、タラは冷凍・解凍によるダメージを受けやすく、冷凍保存には不向き」(阿部助教)。

【下味をつけて冷凍】水分を減らして細胞破壊を防ぐ

「表面に塩を振るなどして、浸透圧の作用で食材内の水分量を減らすことで、冷凍による細胞の破壊が抑えられる。解凍時の水分流出(ドリップ)が減り、栄養やうまみを維持できる」(梶原教授)。

<手順>
 冷凍する肉や魚の両面に軽く塩を振り、5分ほどおいてキッチンペーパーでしっかり水気を取る。ラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて冷凍庫へ。
<point>
 解凍後の調理法が決まっているなら、レシピに合わせて醤油やオイルで下味を。そのまま調理できて便利。
【氷水にくぐらせて冷凍】氷の膜で栄養とうまみを閉じ込める

下味をつけたくない食材や大きな塊肉などは、氷水にくぐらせてから冷凍するといい。「表面が氷の膜で覆われることで、冷凍中の酸化や乾燥を防げる」(弥冨さん)。

<手順>
1 ボウルに氷水を入れ、冷凍する肉や魚をさっと浸す。
2 そのままラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れる。空気を抜いて冷凍庫へ。

【栄養・鮮度を保つ「急速冷凍」】細胞ダメージを最小限に!

食材の鮮度や栄養を流出させる細胞ダメージを抑えるには、できるだけ速く凍らせることもカギとなる。急速冷凍モードのついた冷凍庫がなくても、身近なものを使って冷凍スピードは上げられる。

◎金属製のトレーを使って急速冷凍
 金属製のトレーは熱伝導率が高く、食材を急速冷凍するのに向く。早く凍らせるにはできるだけ薄くトレーに広げて冷凍庫に。トレーは100円均一ショップでも購入可能。

◎保冷剤を使って急速冷凍
 金属製のトレーがない、もっと早く冷凍したいというときには、食材を覆うように保冷剤をのせるといい。保冷剤がない場合は、凍ったほかの食材をのせてもOK。
冷凍中に食材細胞内にできる氷の大きさは、温度と時間で変わる。「結晶が成長しやすい-5~-1℃の“ダメージ温度帯”(グラフの青い帯)を早く通過させることで食材へのダメージを減らせる」(梶原教授)

【野菜、肉・魚の解凍法】

ドリップを出さない温度調節がカギ

常温での解凍は、中が溶けるまでに表面の温度が上がり雑菌が繁殖しやすいため、高温で解凍するか、菌が活動しにくい低温で解凍する。

【加熱解凍】「凍ったまま調理」で栄養を閉じ込める

 解凍と調理を兼ねるこの方法。「凍ったまま加熱するとドリップが出にくく、栄養やうまみの流出を防げる」(梶原教授)。分厚い肉を焼くときは火加減を調節して中まで火を通そう。

<手順>
食材を凍ったまま鍋やフライパンに入れ、調理する。焼く、煮る、ゆでるはもちろん、電子レンジでの加熱調理も可能。
【氷水解凍】刺身など、素早く生の状態に戻したいものに

 氷水の温度は冷蔵庫内と同じ3~5℃かそれ以下になるが、「水は空気よりも熱伝導率が高いため、早く解凍できる」(阿部助教)。厚さ約1cmの牛ステーキ肉で、1枚50~60分で解凍できる。

<手順>
深めのバットやボウルに氷水を張り、冷凍した食材を、水が入らないように保存袋ごとつける。ときどき裏返したり、揺らしたりするとより早く解凍できる。
梶原一人さん
 東京工科大学 応用生物学部高機能性食品研究室教授。専門は機能性食品、生物保存など。科学的知見に基づく食品開発をサポートすべく、食品に関する様々な研究を手がけ、生体関連物質の凍結保存やガラス化保存に関する研究も行う。
阿部周司さん
 東京工科大学 応用生物学部高機能性食品研究室助教。専門は食品加工、水産練り製品、解凍。東京海洋大学海洋科学技術研究科応用生命科学専攻博士後期課程修了。東京海洋大学海洋科学系博士研究員、丸カ朝倉商店研究員を経て現職。
越川藤乃さん
 ベターホーム協会。全国17カ所で開催する「ベターホームのお料理教室」で20年以上講師を務める。料理の基本から、魚のおろし方などを幅広く指導する。
弥冨秀江さん
 ヘルスイノベーション。管理栄養士、産業栄養指導者、女子栄養大学生涯学習講師。豊富な臨床経験に基づき、病院で栄養指導するほか講演や執筆活動、企業の食品開発やメニュー開発にも携わる。

(ライター 茅島奈緒深、写真 鈴木正美、構成 堀田恵美=日経ヘルス編集部)

[日経ヘルス 2018年10月号の記事を再構成]

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