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健診受けっ放しはダメ 呼び出し無視すると就労制限も こちら「メンタル産業医」相談室(28)

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2018/11/1

健康診断のあと、「要精密検査(要二次検査)」「要医療」「要治療」などと記された項目について放置していませんか?写真はイメージ=(c)catalin205-123RF
日経Gooday(グッデイ)

11月に入り気温が下がるとともに、街路樹が鮮やかに紅葉し始めました。皆様の心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて突然ですが、読者の皆様は健康診断のあと、「要精密検査(要二次検査)」「要医療」「要治療」などと記された項目について、きちんと医療機関を受診されていますか? 産業医に呼び出されて「データが悪いので、病院へ行ってすぐ治療(または検査)をするように」と直接指導された経験のある人もいることでしょう。もしくは会社の人事担当や保健スタッフから、同様な内容の促しを口頭や文面で受けた人もいらっしゃるかもしれません。

「なぜ自分の健康診断の結果について、会社や産業医が病院へ行くように口を出すんだ? 自分の体のことだから放っておいてくれよ」と、うるさがって無視していませんか? しかしそれは大変危険な考え方です。

■放置していると、仕事を制限されることも

もし健康診断で二次検査や治療を促されているにもかかわらずに放置して病気が悪化すると、仕事を制限されてしまったり、場合によっては就労させてもらえない事態に陥る可能性があります。

なぜならば、会社には「安全配慮義務」が労働法で課せられているからです。労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と安全配慮義務を規定しています。

簡単に説明すると、使用者(会社)は、労働者の健康が悪化すると予見されるような仕事や、労働者を危険にさらすような職務を与えてはならないということ。つまりもし社員が何らかの病気を患っていることを会社側が知っている場合、さらに悪化させるような働き方はさせられないし、その病気があるがために危険が発生する恐れのある業務につかせてはならないのです。

しかし会社側には医療の知識は通常ありませんから、産業医が代わりにその判定を行い、会社は産業医の意見を参考に就業上の措置を決めることになります。例えばどのような就業上の措置がとられるか具体的にケースを挙げて紹介しますと…

「糖尿病や肝機能などの血液データが安全な範囲に改善するまで、残業は免除(もしくは1日○時間以内)、出張やシフト勤務は主治医の許可が出るまで禁止」

「血圧が正常域に下がるまで、残業は中止とし、社用車の運転は見合わせる」

「貧血が改善するまで、高所作業や危険作業は免除」

「心電図や胸部レントゲンなどで異常が出ている箇所に対して医療受診し、主治医の許可が出るまで残業は1日○時間以内までとするとともに、出張は見合わせる」

…といった感じです(これらはあくまでも一例であり、就労制限の内容や範囲は総合的な健康状態、職種、会社や医師の考えによって異なります)。

また、あまりにもデータが悪化している場合は、ある程度の安全域に改善するまでや、主治医の許可が得られるまでは「要休業」、つまり就労を中止しなければならないという判断が一時的になされることもあります。

例えば、血圧が「収縮期血圧200mmHg/拡張期血圧120mmHg」を超えている場合や、糖尿病で空腹時血糖値が300mg/dLを優に超えるような高血糖状態が続いている場合は、治療が開始されてデータが安全域に落ち着くまでは、産業医側は要休業を意見する可能性が高く、会社もその意見を尊重することが多いでしょう(判断基準は職種や作業内容、医師・会社の考えによって多少異なります)。貧血や肝機能異常、心電図異常などでも、重症な状態まで悪化している場合は、受診して主治医により就労の安全性が確認されるまでは要休業の措置がとられることがあります。

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