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すしに合う! オーストリアワインはおとなしさが魅力

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1985年、ある事件が世界のワイン界に衝撃を与えた。オーストリアのワインに不凍液などに使われる有毒の液体、ジエチレングリコールが混入されていたのだ。一部の業者が、糖度が低いワインに薬品を添加して甘さやボディーのあるワインに「変身」させていたのだという。この「ワインスキャンダル」により、同国のワインの輸出は一時、ほぼゼロにまで落ち込んだ。

それから今や30余年。事件をきっかけに、オーストリアワインは、ヨーロッパでも特に厳しいワイン法のもとに造られるようになった。自然派ワインの造り手も多く、有機耕作をする畑の面積は、全耕作面積に対する割合では世界トップだという。

「当時とは造り手も世代交代し、海外でワイン造りを学んだ勉強熱心な若手がどんどん改革を推進。80年代、90年代はバルク売りの安ワインが中心でしたが、最近は高価な上質ワインで知られるようになっています」。こう説明するのは、東京・銀座で江戸前すしと会席料理の店「銀座 壮石」を運営する西谷の社長で、ソムリエの岡田壮右さんだ。特に白ワインが有名で、「アメリカのワインダイニングなどでも、まずワインリストにある」(同)ほど。

「銀座 壮石」は、岡田さんが店の料理とワインとのマリアージュをテーマに2010年にオープンした店だ。「酸味が強いワインは酢飯を使うすしには合いにくいとか、生臭さを感じるのではないかと思っている人も多いのですが、案外合わせやすいんですよ」。開店に向けすしをはじめとする料理に合うワインを探す中、出合ったのがオーストリアのワインだったと言う。

同国は西部から中央部にかけてアルプス山脈が走っているため、ワインの産地は首都ウィーンを含めた東部に限られる。その緯度は最も高価なワインを生産する産地の一つである、フランス・ブルゴーニュと同じで気候に恵まれている。「家族経営の生産者が多いところもブルゴーニュに似ています。でも、ほとんど白はシャルドネ、赤はピノノワール(いずれもブドウの品種)から造られる同地方のワインとは異なり、オーストリアのクオリティーワインは36種類のブドウから造られる。しかも、リースリングといった国際品種だけでなく、地場品種も17種と豊富。選択肢が広いんです」(岡田さん)。

さらに、すしに合いやすい理由として挙げるのが、同地のワインが「個性的ではない、やさしい味わいであること」。「おとなしい」と表現されることも多いが、逆にそれが最大の魅力だと言う。「たるの香りやタンニンを強める、酸を高めるといった醸造テクニックにより個性をはっきりさせようとしないのが、オーストリアワインの特徴。畑仕事で8割ワイン造りは終わりでブドウをそのままワインにしてあげましょうといった造り方なので、すしの味わいをワインの個性が覆ってしまうことがないんです」。

発酵終了後、オリと一緒にワインを熟成させ、オリの主体となる酵母のうまみをワインに移す造り方をする生産者も多いため、すしや和食に合ううまみが感じられるものも多いそうだ。

入門編としてすしに合わせてみて欲しいと言うのが、主要産地である同国北西部ニーダーエステライヒ州で造られる地場品種の白ブドウ、グリューナー・ヴェルトリーナーのワイン。「マグロにはエレガントで少し熟成した複雑な味わいの赤、しょうゆで食べるタイやヒラメは程よいボリューム感のある白がいいなど、ネタによって合うワインは異なりますが、この白ワインはお茶と一緒で、飲むとそこで味わいがリセットされるんです」。脂の多いネタは脂を切ってくれ、少ないネタならかんきつ系のピュアな果実味ときれいな酸がネタの味わいを切ってくれる。ネタによってワインを変えずに通しで飲めるので、家でパック寿司を食べるときなどにも、最適というわけだ。

「すしにはミネラル感豊富なワインが合いますが、オーストリアには様々な土壌があり、それによってワインから得られるミネラル感も異なります。例えば、同じニーダーエステライヒ州でもヴァッハウは、硬い原成岩の土壌なので複雑で重いミネラル感がある。一方、堆積した黄土(レス)からなる土壌のヴァーグラムでは、さらっとして華やかなミネラル感のある白ができる。テロワール(土地柄)を尊重したワイン造りを心がけている生産者が多いので、違いが分かりやすいんです。比べてみると面白いですよ」(岡田さん)。

10月上旬、「銀座 壮石」では同店のすしや料理とオーストリアワインを合わせるイベントが開催された。まず運ばれてきたのは、だしじょうゆに漬けた生スジコだ。「生ではなく塩漬けのスジコだと臭みが出てしまうので、ワインには合いにくい」(岡田さん)と言うが、これに合わせたのは南部の産地で造られるロゼのスパークリング、シルヒャー・フリツァンテ。

ブラウアー・ヴィルトバッハーという地場品種から造るもので、「だしのようなうまみがある」と言う。グラスからは華やかな香りが立ち上り、スジコのやわらかな甘み、うまみを引き立てている。一方、先のグリューナー・ヴェルトリーナーに合わせたのは、塩で食べる寒ビラメだ。明るい黄色の白ワインはかんきつの味わいがあり、口の中がすっきりする。

また、本マグロの漬けとのマリアージュはニーダーエステライヒの南、ブルゲンラント州で造られた地場品種ブラウフレンキッシュの赤ワイン。タンニンが程よく感じられ、やさしい酸味と熟成感がマグロのボリュームのある甘みに寄りそう。

最後は煮アナゴ。このすしには甘口ワイン、特に熟成感と複雑味が感じられる貴腐ワインが合うと言い、当日はやはりブルゲンラントで造られた貴腐ワイン、ベーレンアウスレーゼが出てきた。ヴェルシュリースリングという香りが少なく酸味の高い品種を用いたもので、ワインが主張しすぎることがないため、繊細でうまみが凝縮されたアナゴの味わいを生かしてくれると言う。

実はオーストリアワインには、フランスにあるような格付け制度がまだない。「だから、コストパフォーマンスもいいんです」と岡田さん。特級、一級などと格付け表示があれば誰でも手を出しやすいが、ボトルに示されているのは産地、造り手などだけ。よく知らない人は求めにくいので割安になるというわけだ。もっとも、数年先には格付け制度の導入を予定しているらしい。オーストリアワインとすし。マリアージュを試してみるなら、今がチャンスだろう。

(フリーライター メレンダ千春)

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