マネーコラム

日経マネー 特集セレクト

スタートアップへの投資 「勝者」に大きく賭けよ ウーバー見つけた米投資家のアドバイス

日経マネー

2018/11/2

ジェイソン・カラカニスさん IT(情報技術)分野のエンジェル投資家。ブログネットワークの米ウェブログズ(後に米AOLが買収)などを起業後、エンジェル投資家に転身。起業家と投資家を橋渡しする技術系カンファレンスも数多く創立。(写真:陶山勉)
日経マネー

ジェイソン・カラカニスさんは、創業して間もない未上場のスタートアップ企業に資金を提供するエンジェル投資家だ。ライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズにいち早く出資するなど、成功を積み重ねてきた腕利きだが、どのようなスタンスで投資に臨んでいるのか──。株式投資にも通じるポイントを聞いた。(文中敬称略)

◇  ◇  ◇

──エンジェル投資家として成功する秘訣についてご自身ではどう考えていますか。

エンジェル投資家として成功するには、まず資金が必要だね(笑)。次に、最初は投資金額をなるべく少額に抑えることだ。1000ドル(約11万円)程度で構わない。また、製品やサービスができていない企業には投資しない。

これは、私がエンジェル投資家として駆け出しの時に全く正反対のこと、すなわち製品やサービスがまだできていない企業に多額の資金を提供して失敗した経験から得た教訓だ。その会社は追加の資金を要求するばかりで、製品を完成させて発売することがついにできなかった。同じ失敗を繰り返さないために、投資金額をなるべく少額にすることと、製品やサービスができていない会社には投資すべきでないことを学んだ。この2つを実行することで、投資のリスクの9割を低減できる。

■失敗が大半だから分散する

──創業間もない未上場のスタートアップ企業に出資するかどうかを決断する際の基準は?

まずその企業の創業者に会った時に相手の目を直視する。そして短い質問をして答えを吟味する。

「何に取り組んでいるのか」

「なぜ他のことではなくそれに取り組んでいるのか」

「なぜそれが今うまくいくのか」

「うまくいく背景に何か世の中の変化はあるのか」

これらの質問を繰り出して、創業者がどれほどの情熱を持って事業の構築に取り組んでいるのかを推し量る。

もっとも、企業の創業初期に出資を決めるのだから、判断が完璧なことはあり得ない。実際に出資の大半がうまくいかず、全く利益を上げられずに終わる。だが、当たれば大きい。出資したお金の10倍、50倍、中には1000倍の利益を上げられることもある。

このような大勝利を手にするためには、少なくとも30~40社に出資することが必要だ。大半が失敗に終わるのだから。とても恐ろしいことではあるが、そうした実情を知っていれば、投資に伴うリスクや不安を軽減できる。

『エンジェル投資家』という著書を執筆したのも、エンジェル投資の実情を伝え、より多くの人に手掛けてもらうためだ。大半が失敗に終わるからきついけれども、取り組む価値がある。

先述のように少額で始めることを勧めるのも、出資の大半が失敗するからだ。子供の学費や借金の返済、リタイアのために貯めたお金を注ぎ込んではならない。それは狂気の沙汰だ。しかし、人々は時にそれをしでかす。例えば、貯金を全て仮想通貨の購入に充てたりというように。

マネーコラム 新着記事

ALL CHANNEL