『獣になれない私たち』 新垣結衣が挑む「大人の恋」
大人になればなるほど悩みが増え、恋自体がなかなか始まらない。10月から放送の日本テレビ系オリジナルドラマ『獣(けもの)になれない私たち』は、そんなリアリティーにこだわったラブストーリーで注目されている。人気作を生んだ女優・新垣結衣と脚本家・野木亜紀子による4回目の「黄金タッグ」という点も話題だ。
嫌なことを「嫌だ」と言えず、いつも笑顔で、周囲の人のことを気遣いながら生きている営業アシスタントの深海晶(しんかいあきら=新垣結衣)。一方、世渡り上手で人当たりはいいが、本当は誰のことも信用していない会計士の根元恒星(ねもとこうせい=松田龍平)。その2人を軸に物語が進んでいく。晶と恒星はクラフトビールバーで偶然出会い、利害関係がないからこそ、気兼ねなく本音を言い合うようになる。
脚本家・野木亜紀子のオリジナル作で、新垣が野木作品に出演するのはこれで4回目。日本テレビでは『掟上今日子の備忘録』(2015年)に次いで2回目となる。プロデューサーの松本京子氏はバラエティー出身で、最初に携わったドラマが『掟上~』だった。
「映画の『図書館戦争』(13年)を見てアポを取ったところから始まり、私にとって初めて接した脚本家が野木さんでした」と松本氏(以下同)。「『掟上~』では西尾維新さんの小説を実写化しましたが、ファンの多い原作の世界観を壊すことなく、オリジナルの要素をプラスするアイデアが素晴らしくて。次回はぜひオリジナルをやりましょうと、ずっと連絡を取り続けてきたんです」
その後、野木作品から新垣主演の『逃げるは恥だが役に立つ』(16年)や『アンナチュラル』といったヒット作が生まれ、松本氏も大いに刺激を受けたとのこと。このタイミングで女性がメインターゲットとなる水曜午後10時の枠の担当が決まった。「じゃあラブストーリーかな」と話すうちに、そもそもたやすく恋に落ちることができない大人たちを描く「ラブかもしれないストーリー」というテーマが浮かんだそうだ。
リアリティーを重視して、登場人物が勤めている業種の人たちを取材し、職場の雰囲気や服装などもできるだけ反映しているという。「野木さんとスタッフとの打ち合わせでは、友人のエピソードや身の回りに起きたことなども話したり。お互いの過去の恋愛話など、周りには聞かせられないようなぶっちゃけトークが繰り広げられています(笑)」
チーフの演出家は、『Mother』(10年)や『anone』などを手掛けてきた水田伸生。最近は社会派ドラマのイメージが強いが、過去にはラブコメディーなども担当している。「人生に悩む男女の姿を、どのようなタッチで撮ってもらえるか楽しみです。水田さんも野木さんも、お互いの作品のファンだと言っていて、相思相愛。水田さんは野木さんのオリジナルの世界観を、すてきに表現したいと意気込んでいます」
新垣と松田は、映画『恋するマドリ』(07年)で共演して以来、11年ぶりに再会。空気感が似ていて、息もぴったりだという。「様々な愛の形が出てきます。右往左往する大人たちに、共感してもらえたらうれしいです」
(「日経エンタテインメント!」11月号の記事を再構成 文/松下光恵)
[日経MJ2018年10月26日付]
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